人生攻略~二浪一留した25歳のダメダメ大学5年生の俺が自己啓発書を100冊読んで変われた話~

ハカドルサボル

第1話 くそったれな人生

 高校生の時の夢はラノベ作家になりたい、だった。当時、携帯小説が流行っていて、当然俺もやっていた。みんなが受験に集中する高三の一年間で、勉強なんてそっちのけで小説を書いていた。高尚なる現実逃避。なにぶん勉強が嫌で嫌で仕方がなかったのだから、仕方がない。当時のことを思い返すと、授業は寝てばかり、先生の話はちんぷんかんぷん。要するに端的に言って、一言で表すならば、落ちこぼれ、だった。


 二浪の末、金沢の文系私大に合格。みんなは年下ばかり。結局、4年で卒業できず、五年生になってしまった。


 俺の人生はくそったれな大馬鹿野郎だ。


 ラノベ作家になりたかったのに、なぜか経済学部を選び、ずっと携帯小説やウェブ小説を書いていた。なのに、隠れオタクで、ラノベのことを喋ることすら恥ずかしかった。もう死にたくなった。いや、死にたくはないが、絶望した。ひどく絶望して鬱になった。


大学五年生になった俺は、大学四年間の授業をさぼりにさぼりまくった経緯を反省し、授業だけは受けるようにした。たびかさなる基礎的な講義。一年生に混じって受ける基礎カリキュラムは、俺を苦しめた。


 もう本当に最悪な人生だ。


 ギャンブル依存症。エロゲオタ。ラノベ作家志望のワナビ。就職は絶望的。おまけに精神的な病気持ち。もう、本当に死んでやろうかと思った。電車がくると、ふっと頭に飛び込むシーンが浮かび、寝る直前には、縄のロープで首を吊る自分が思い起こされた。


 典型的な鬱症状。


 現実逃避は文学の世界だけだった。


 大学生だった俺は、図書館に逃げた。大学の図書館で世界文学を片っ端から読んだ。読むことも、書くことも、快感だった。何か文学的素養を理解していないと死んでしまいそうだった。


 ヘルマンヘッセの車輪の下を読んだ。ネタバレする。最後、神童だった主人公が死んでしまう。自分のことのように思えた。


 俺は、小学生の時は、運動も勉強もそこそこできた。


 ああ、すまん。何か、ラノベを書くつもりが遺書のようなものを書いてしまった。両親に見られたら恥ずかしい。しかし、この小説は、そういう私小説の養分を含んでいるので、御無礼いただきたい。ただ、自分のことを、ノンフィクションとフィクションに合体させて紹介したのだ。


 とにかく、俺は小学校の時に、モテた。中学校の時もモテた。でも彼女はできなかった。それどころか、女子とまともに話すことさえできなかった。屑野郎だ。


 自分を卑下し、ポジティブになることは人生に悪影響を与える。しかし、これはそういう小説だ。遺書小説とでもいうべきか、最後に感謝を述べ、死ねば――俺は自殺する気は毛頭ないので、最後は100歳で老衰したいと思っている――いいのだが。


 とにかくこの燃えるような屑野郎がなぜ、人生で成功を手に入れることができたのかをかき出したい。


 25歳。童貞。非モテ。二浪、一留の大学五年生。私大文系。就職は絶望的。ギャンブル依存症で毎日パチンコ通い。浪費家。精神的に絶望し、病気を患っている。


 何もない人生は、空虚、変転する。コペルニクスの転回のように、味方を変えれば、人生は180度変わるのだ。


 俺は、一人の少女との出会い、そして、自己啓発書との格闘が人生を変えてくれた。


 もう、犯罪を犯して、刑務所でずっと暮らしていくものだと、もしくは、精神病院に入院し、ずっと人生を終える、冴えないラノベ作家志望のワナビのままだと思っていた。でも人生は違った。変わるのだ。変えられるのだ。

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