第20話 高い!
「それで? この二日間どこに行ってたの?
この私を放置してまで、なにを楽しんでたのかしら?」
「いや、かんぜんにわすれてただけ」
「ひどい!!」
カイリちゃんとあかねはリビングの椅子に向かい合って座って、会話をしている。
俺は、携帯端末を触りながら、調べ物をしている。
お金の使い道について。
死んだ友人の話によると、やはりお金は使わないといけない。
死蔵された金ほど、価値のないものはない。
つまり、持っているだけ無駄なのだ。
使い切ることが望ましい。
そのために、まずは爆買いから始めることにした。
「佐々木さんも何か買う?」
「ベッドが欲しいわぁ? それに、いくつか服が欲しいのぉ。
流石にぃ、福岡に根を下ろすとなるとぉ。
東京の方に色々と置いてきたからぁ」
そうか。
カイリちゃんは勝手に密林オンラインストアでたくさん買って玄関口にダンボーが積まれているが、佐々木さんはそんな勝手なことをしないのか。
「出費は最低限にしてるけどぉ。
買ってくれると言うならぁ、一番豪華なやつがいいわぁ。シ●ンズとかぁ」
「えっと、特に高いと言っても30万でお釣りがくるな。
キングサイズに、して。
おお。これは63万円」
「あのぉ、高いのよりもぉ、機能性に優れた方がいいかもぉ」
「大は小を兼ねると言うけれど」
「そうねぇ。
でも小は大になれないのよぉ?」
「めだかは鯨に進化するけど」
「そんなの迷信よぉ?」
俺は、密林オンラインストアで40万円のキングサイズベッドをカートに追加。
特に説明は読んでいないが、天国に登る心地良さだとう言う。
「それに、服?
婦人服詰め合わせとか?」
そんな季節でもないのに、福袋があった。
たくさんの婦人服が詰まって1万円。特に重量は20kg。
服が20kgあるのだ。量はすごいだろう。
ここから、佐々木さんが好きな服を探せばいいのだ。
と、購入限界の5つをカートに追加して。
「えっとぉ、私って年増に見えるのぉ?
まだ23歳なんだけどぉ」
俺のタブレットを覗き込みながら彼女は言う。
なぜそんな言葉が出てくるのかよくわからないが、
「福袋いらないの?」
「婦人服って、多分おばさんとかのぉデザインよねぇ。
なにが入っているかわからないし、サイズもよくわからない物はいらないわぁ?」
「でも、5万円だし」
「1万円ってねぇ。
高いのよぉ?」
それは知っているつもりだが、
今俺が扱える額からすれば微々たる物。
一日1万円で過ごしたとしても、一生かけて使いきれないと思う。
「まぁ、いいけどぉ」
「いいならいいさ」
と、流して置いて。
俺が欲しいのは、フィギュアだ。
シューケースと一緒に買おうと思っていた。
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