第42話
乾いた寝台の上で私は目を覚ました。横にいるのはいつものアムリタだった。
(そうか、あの後、結局倉庫には戻らず、宿舎の中で泊まったのか……)
「やっと目を覚ましたわね、卿!」
「ああ、おはよう、アムリタ」
(ん?ちょっと待て宿舎の中、ということは‥?)
「安心してスケ煩、シャーキのいうには余った部屋ということよ」
「その呼び方を定着させようとするなっ!」
私は一息ついた。いくら官巫院内であっても女子の部屋に泊まったとなれば私の僧としての体裁が持たない。
「とにかくっ!早く朝ごはん食べに行きましょっ!」
食堂の様子は昨日の昼頃と何ら変わりなかった。サーティーも友人(と思わしき人)と一緒に朝食を摂っている。
そして私の横では皿いっぱいに料理を盛り付けたアムリタが物凄い速さで口にそれを詰め込んでいく。
「はぁ、どうしてお前には遠慮というものが無いんだ?」
「さぁね、知らないわ」
「だから、どうしてそういう風に自分が神であるみたいに振る舞うんだ?」
「早く!遠慮の説明は!?」
「そこから知らなかったのかよ……」
「とにかく食べれる時はたくさん食べる!それが私のやり方よ!」
(だからって、こんなめちゃくちゃしたらそりゃ監禁されるわ)
私達は朝食を終えた。それを見計らってか、サーティーが近づいてくる。
「おはようございます、卿様」
深々とお辞儀されてしまった。
「昨日は良く眠れましたか?」
(やはり自分では気づいていないのか。昨日のあれは、サーティーによるものであることは間違いない、ということか)
「まあ、その、な」
「何なんですか!はっきりして下さい!昨日は良く眠れましたか?」
(そう言われると弱ってしまう。昨日見たものが本当に彼女の過去だったら、俺はどうすればいいんだ)
「ああ眠れたよ。ありがとう」
「それは何よりです。それじゃあ私は授業があるのでこれで」
「ああ、また見かけたら声をかけてくれ」
私はサーティーと別れた。横でアムリタが物凄い剣幕で彼女を睨んでいたが、サーティーは気にも留めていなかったようだ。
「じゃあ早速行きましょう!」
「どこへだ?」
「決まってるじゃない、シャーキのところへよ!」
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