第31話

「はい、いつものことですから」


胸前に組まれた両手。

そう言ったサーティーの拳には圧が込められている。


「大丈夫と言ったって、、、これは立派なイジメじゃないか!」


私は我にもなく声を張り上げた。

またしても眼がこちらを向く。


「私が悪いんです、、、私がこうして、他人ひとのことを考えないから」


「そんな事があるか、」

私はワントーン落として彼女に言った。

「このことは俺からシャーキに報告させてもらう。彼女はここの監督者なのだろう?力になってくれるはずだ」

(あのひとだって鬼畜じゃないだろう。監督者としてならイジメなんて言語道断、断罪するはずだ。)


「とにかく、アムリタを探そう。そうしないと、シャーキに怒られるんだろ?」

「はい、、」


私はサーティーと共に官巫院サンガラマの中をアムリタを探して回った。




古今東西の文献を保管する書庫の中


私に解せる文字はない



今はもう使われていないという古びた祭礼用の部屋


人が入った痕跡はない



聖域カラッダへと至る参詣口


重厚な門が開いた形跡もない


その門とそれに連なる壁の高さを考えても、いくら彼女でも飛び越えることは出来ないだろう。




気がつくと、時間はすっかりお昼になってしまっていた。

(そういえば朝から何も食べてない。)

私はダメ元で官巫院に昼食を摂る習慣があるかを尋ねてみた。



「ありますよ。これから向かおうとしていた所です」

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