全アカウントBAN

爪木庸平

第1話

 朝、起きる。眠い目を擦って枕元のスマホを手に取り、SNSアプリを起動する。あれっ、画面が読み込めない。なんでだろう。ホーム画面に遷移すると、「ご利用中のアカウントは当サービスの規約に違反したため、凍結しました」と表示される。あれれ、凍結?

 ちょっとヤバいなー。でもTLの人も凍結食らってたなそういえば。規約違反したといっても心当たりはまったくない。

 まだ半分眠い。毎日この時間に起きてるから二度寝することはないが、眠気は残る。

 昨日の夜のTLを読めないことでかすかにイラつく。仕方がない、気持ちを入れ替えて凍結解除の方法を探そう。

 検索エンジンで「SNS 凍結解除」と検索する。ん? 検索エンジンの右上に表示されるプロフィールアイコンがゲストになっている。なんで?

 検索エンジン兼メールサービスのホーム画面に遷移しようとするが、表示されない。代わりに出てきたメッセージを要約すると「凍結」ということだった。

 ──え。

 背筋が震える。手も震え、一度スマホを取り落とす。寝てる場合じゃない、寝ながら操作していい場合じゃない。

 なにこれ? どういうこと?

 思わず友人の顔を思い浮かべる。インターネットに明るい友人。この朝早くから起きてるとは限らないが、メッセージを見たら即座に返信をくれるであろう。

 メッセージングアプリを立ち上げる。

 は?

 連絡先が、すべて、消えていた。

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