スキル【創造】(クリエイト)が最強過ぎてチートの枠に収まらないのでスローライフを諦めて無双します

道(タオ)

Episode1

 青い空、白い雲、そして広い草原………草原!?

 何故、僕はここに居る?

 周りをよく見れば、幼児が画用紙にクレヨンで書いたような風景。これは夢なのか?


「初めまして、大和やまと武尊たけるさん。」


 不意に、声をかけられ慌てて振り向く。後ろから声が聞こえたはずだが、姿は見えない。尚も声の主を探そうと、辺りを見回すがやっぱり見えない。幻聴か…と思っていると肩を叩かれたので、振り向けば頬に指が当たる。


「ふふ、引っ掛かりましたね。イタズラ成功です♪」


 屈託の無い笑顔で僕を見つめる美女。絶世の美女とは彼女の事を言うのではないだろうか。白に近い銀色の髪は、腰の辺りまで長くポニーテールにしている。体型は全体的にスレンダーであるが、胸だけは自己主張が激しい。


「武尊さん?女性の胸をマジマジと見つめるのは、セクハラですよ。」


「ご、ゴメンなさい。貴女があまりにも美しいので、つい見とれてしまいました。」


「話題を反らすには苦しい言い訳ですが、女性を褒めた事を考慮して不問に致しましょう。」


 そう言って目の前の女性はニコリと笑った。しかし、目は笑ってなかった…マズイ、非っ常ーにマズイ。僕の16年間の経験からして、この手の女性はキレると、なかなか機嫌が治らない可能性が高い。

 100%中127%の確率で不機嫌なまま、雰囲気が更に悪くなる。どうすればいいだろうか?


「まぁ、武尊さんとこうして面と向かって話をするのは、最後になると思いますのでそれほど気にはしませんよ。」


「どういう意味でしょうか?」


「お約束の『テンプレ』と言うやつです。」


「ほほう。」


「つまり、武尊さんは今から『異世界転生』していただきます。」


「なるほど。」


「まぁ、異世界に転生したからといって、使命などありませんのでその辺りはご安心下さい。説明は以上ですが理解していただけましたか?」


「ちーともわからん。何故いきなり異世界に転生しないといけないのですか?何故僕が選ばれたんですか?どういった基準なんですか?その前にここはどこなんですか?」


 僕は思っている事を、目の前の女性にぶつけてみた。久しぶりの休日を楽しむ予定で家を出れば、こんなわけのわからん所で『異世界にご招待』などと言われ、『はい、わかりました。』と言える訳がないでしょう。第一、何故僕が行かないといけないの?『異世界に転生』など、Web小説の中だけで十分だ。

 …ん?『転生』?……ってことは………


「いろいろとわからないとは思いますが、貴方は神々に選ばれた存在なのです!!」


「勝手に選ぶな。断固拒否する!!僕は社会の歯車として天寿を全うする。」


「えっ、普通はノリノリで異世界に行きたがるものですよ?」


「何をもって『普通』かは解りませが、僕は拒否する。」


「そんなこと言わずに異世界に行きましょうよ~。」


「何故そこまで必死なんですか?何か理由でもあるのですか?」


「べべべ、別に理由なんて、あああ、ありませんよ。」


 かなり目が泳いでいる時点で、この女性にとって何らかの理由があって僕を異世界に送り込もうとしているな。


「そうですか、特に理由が無いなら僕は帰らせてもらいます。」


「ううっ、わかりました。理由をお話致します。」


 案外チョロいな、この女性ひと


「理由は、私が新たに『創造神』になって初めて創った世界に何らかの不具合が見つかりまして…私自身はその世界にこれ以上、干渉できないので替わりに見ていただきたく思い、貴方を呼んだ次第です。」


「えっ、それって別に、僕じゃなくてもよかったんじゃないの?」


「いえ、私と武尊さんは魂の波動が近しいので、私の権能の一部を『スキル』として譲渡することが可能なのです。」


「へぇ、それでその『スキル』とやらはなんなのですか?」


「『創造クリエイト』です。」


「制限は?」


「生物以外なら何でも創造出来ます!!」


 まるでシ○シティだな。アプリでやってたゲームだった。


「スキルに関しては、わかりました。ただひとつ教えて欲しいことがあります。」


「ありがとうございます!!お礼といってはなんですが、武尊さんの要望に出来る限り応えたいと思いますが、何かありますか?」


「いや、ちょっと、人の話聞いてました?まだ引き受けるとは言ってませんよ?」


「あぁ、あちらの世界では、言語形態が違いますから『言語理解』のスキルも付けましょう。他に何かありますか?」


「ですから、まだ引き受けるとは言ってないです。」


「『AIサポートシステム』も付けましょう。戦闘から日常生活、国々の情報や種族、はては夜のいとなー」


「ちょっ、ストーップ!!」


 何言っちゃってンだ!?健全な青少年に対して、口にしてはいけない事を、平気で言うなんてマヂですか?


「?私何かヘンな事、言いました?」


 しかも、無自覚かよ!!手に負えねぇ……


『肯定です』


「誰?」


『そこのポンコツ造物主によって、創られた『AIサポートシステムNo.00』です。マスター、今後とも、よろしくお願いいたします』


 うわ~、スッゲ~、辛辣。

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