12_歯磨きと違和感

とりあえず、しばらくは堀園さんがうちに泊まることになった。

なんか、すごくいけないことをしているような気にもなる。


まあ、もうしばらく春休みだ。

時間はたっぷりある。


仮初(かりそめ)の美少女との生活を楽しむことにしよう。

いつ出ていくかも分からない彼女。


いつ出て行っても、がっかりしないようにしておこう。


とりあえず、歯でも磨いて寝る準備をしようか。


「じゃあ、歯を磨いてくるね」


「はい」



洗面所に行って、歯ブラシに歯磨き粉を付けているときに気づいた。

かごに入れていた俺の服がない。


堀園さんが洗濯機にでも入れてくれたのかな。

何しろ1週間溜めていた洗濯物を今日1日で全部洗ってくれたのだ。


乾燥機だけじゃ足りなくて、庭の物干しに洗濯物を干したほどだ。

俺も一応かごを運ぶのは手伝った。


まあ、ほとんど堀園さんがやってくれたのだが。


俺は洗濯が最も苦手だ。

洗濯ものは日々増え続けて、無くなることはないし、洗濯機に洗濯物を入れて洗い始めたら30分とか時間が空く。


頑張ろうと思った気持ちは30分後まで持続できない・・・

せっかく洗ったのだからと、頑張ってほしても乾くまでに数時間かかる。


30分ならまだしも、数時間たったころには『洗濯意欲』は費(つい)えている。

しかも、畳まないといけない上に、タンスに仕舞うのが面倒ときた。


せっかく片付けても、下手したら次の日にはまた使うのだ。

洗濯って本当にダメだ・・・向いていない。

使い捨ての下着や、服があったら絶対売れるはず!


歯を磨きながら、馬鹿なことを考えていたら、2つ問題を思いついた。

1つは、堀園さんの寝る場所をどこにするかということ。

ベッドは俺の1個しかない。


まあ、父さんのベッドはあるが、JKはおっさんのベッドで寝るなんて嫌だろう。

来客用の布団なんてないし、俺のベッドを提供して、俺がソファに・・・


いや、俺のベッドも嫌じゃないだろうか。

ただ、ソファで寝てもらうには、まだ寒い季節だ。

来客用の掛け布団も、寝袋もない状態だ。


2つ目は、年ごろの(しかも飛び切りかわいい)子が同じ屋根の下(もと)寝るのだ。

俺のいけない衝動を抑えられるかが分からない。


そこに、歯を磨き終わった堀園さんが戻ってきた。


「あの・・・堀園さん、寝る場所なんだけど・・・」


「あ、私は床にでも寝させてもらいますのでご心配なく」


「いや、そうはいかないでしょ!まだ寒いし、床は痛いよ」


「・・・やさしいんですね。でも、ホントに大丈夫ですよ?」


「いやいやいや!」


「じゃあ、一つだけ・・・お願いしてもいいですか?」


「うん、なに?」


「私もセリカくんのお部屋で寝られたら・・・」


「え!?」


「初めての家だから・・・一人だと怖くて・・・」


「ああ・・・そうか・・・じゃあ、堀園さんがベッドに寝て、俺が床に寝るよ」


「とんでもない!そんなことになったら申し訳なくて私寝られません!」


それはこまったな・・・

かといって、一緒のベッドというのは・・・


何か布団の代わりになるものを考えながら部屋に向かった。


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