Mysterious world

夜桜モナカ

第1話

 ―ねぇ、起きて。起きてくれないと困るの。


 ―加奈ちゃん?




 …あれ?ここどこだろう?


 気が付いたら、私はどこかの路地裏で横たわっていた。


 体を少し起こして、周りを見渡してみる。


 すべてが薄暗くて、赤と黒に染まったような街並み。


 所々に砂嵐のように点滅する物体が転がっている。


 赤くて小さな塵が空に吸い込まれていく。


 建物はすべて廃墟と化していて、人の気配は全く無い。


「…よいしょっと」


 フラフラとする足をしっかりと立てて、起き上がった。


 風が止まない。常にどこからか吹き付けていた。


 …私は、何故こんな所に倒れていたのだろう?


 そもそも、ここはどこなのか。


 …確か、私がここで目を覚ます前は…


「…えっと…何していたんだっけ…」


 …分からなかった。何も思い出せない。


 でも、これだけは分かる。


 ここは、現実の世界じゃない。


 …ここがどんな世界なのかは分からない。


 だが、現実世界に帰る方法があるはずだ。


 まずは、この街を歩き回ってみよう。

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