夏子

ももいくれあ

第1話

壁に掛けた季節外れの

 コートに慰められていた。

また、すぐに来るんだね。

すぐに忘れられるよね。

夏の日差しに照らされて、

色あせていくそのコートを、

今でも壁に掛けている。

何回模様替えをしても、

そのコートはそのままだった。

もう、取りには来ないのに、

もう、声は聞けないのに、

もう、ココにはいないのに、

夏子が忘れたコートだけは、

 どうしても外せない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏子 ももいくれあ @Kureamomoi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説