異変

自衛隊の3トン半トラックを運転していたのは、後方支援連隊から臨時に派遣された野田2等陸曹と、その相方の玉井士長だった。横須賀から高速道路、一般道路を使い東富士演習場ちかくの砂利道に入り、ようやく目的地が近づいたころである。


玉井「かー。メンドクサイですねえ。せっかくの週末だって言うのに、防大生や防衛医大生の御守りだなんて。野田2曹も新婚でしょ・」


野田「そう喚くな。どんな任務だろうと不平不満を口にしないのが自衛官ってもんだ」


玉井「はいはい。野田2曹は真面目ですねえ。って・・・急に雷に土砂降りの大雨っすよ」


野田「うーん、前方の段列の3トン半やパジェロが見えなくなったぞ。うしろはどうだ」


玉井「後続車。確認できませーん。ていうか、俺、何度も東富士は来たことありますけど、なんか変ですよ?」


野田「道も狭くなっている。おかしいなあ。分岐を間違えた覚えはないんだが」


玉井「この3トン半には いまだにカーナビすらないですからねえ」


野田「とりあえず、いったん止まるぞ」



豪雨はものの5分で収まった。しかし、前後の道路には他に自衛隊車両はいっさい居なかった。(むろん、自衛隊演習場入り口付近なので民間車両も走っていない)


自衛隊3トン半トラックの荷台に乗っていた 百武以下、防大・防衛医大の学生たちも異変に気が付いたようだ。


百武「とりあえず様子が分からんので、全員下車・・トイレ行く奴はさっさと済ましてこいよ」

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