最終戦

 ゴブリンキングは、夏希を蹴り加速してくる僕の拳を避けることなく拳で対抗してきた。

 拳と拳がぶつかりその一撃で勝ったのは僕だった。

 ゴブリンキングの腕は衝撃で肩まで吹き飛んで無くなった。

 けれど後ろへ下がる事無く、腕のない状態で右足を胴へ蹴りこんできた。

 僕は左腕を右足に振り下ろし当たるポイントをずらして何とか回避した。

 

 「ゴブリンキングそろそろ終わりにしようか」


 僕は血が流れ出て、ふらついているゴブリンキングへとゆっくり歩き出した。

 するとゴブリンキングは楽しそうに笑い腕を再生させていく。


 「そうだな。さっさと殺す事にしよう」


 ゴブリンキングはポケットから何かを取り出した。

 それはキラキラと光り、数個金属板が着いたグローブだった。

 グローブを手にして軽くシャドーをし武器を持つよう促してきた。


 「お前も武器を取れ。全力でやろう」

 「分かった。リン来てくれ」


 周りにはゴブリンが一匹も残っておらず、戦いを眺めているリンを呼び出し、僕の小さい体に合わせ少し長い白銀のショートソードになってもらった。

 そして僕達は武器を取り構えた。

 静かな空間が広がり、風が吹く音だけが聞こえた。

 二人は見つめ合い、少しの動きも見逃さないように集中していた。


 ゴブリンキングは、ノーモーションで僕へ向かってきて拳を振り下ろしてきた。

 僕は聖属性の魔力で覆ったリンの剣を振り上げて受けた。

 ぶつかった瞬間に火花が散り焼けた匂いがした。

 グローブも破れることなく、しっかりと剣を受けており直ぐに決着の着くことは無かった。


 「良い剣だ」

 「そっちこそ耐えると思ってなかったよ」


 僕は直ぐに剣を引き二撃めを打ち込んだ。

 するとゴブリンキングは、近距離で威力が出にくいのを良い事に左手で綺麗に受け流し、顔へ向けて右腕を打ち込んだ。

 

 僕は顔に迫る拳を瞬時に爆発が強くなるように性質変化させたファイヤーボールを撃ち、殴らせることで爆発させその勢いで距離を取った。


 「あっぶな!あと少しでやばいのは喰らうとこだった」


 爆風で距離を取ったのだが、ゴブリンキングは地面に着地した足で蹴りあげ僕へ走り込んでくる。

 そこへ弾速と温度重視のファイヤーボールと氷になるまで温度の下げたウォーターボールを打ち込む。

 ゴブリンキングは気にせず、両方のボール系統魔法を拳で打ち破り無効化した。


 僕は最後に魔法を殴り消したタイミングで剣をボディーに振ったのだが、その一振は当たること無かった。

 ゴブリンキングは迫り来る剣に対して、小さくジャンプし足を地面から離し、動きのしがらみを無くして剣を蹴ると、高い金属音がして僕をノックバックさせた。

 そして畳み掛けるように近付き、殴るのではなくゼロ距離で触れて体をひねる。

 その瞬間僕は吹き飛ばされた。

 地面に転がり、立ち上がろう足へ力を入れるのだが体内から湧き出る熱いものを感じ咳き込み体外に出した。

 

 「結構効いたな」


 僕は回復魔法を使って破壊された内臓を治してもちなおした。


 「流石にあの動きから発勁が出るとは思わないよ」

 「クソが。お前受ける時体を捻って受け流しやがったな」

 「ギリギリ成功して良かったよ」


 僕はノックバックし発勁を受ける前に、ゴブリンキングのやりたい事を察知し、打ち込まれる瞬間に胴を微回転させ受け流したのだ。


 「ハルトを殺すには一発で仕留めないといけないな」

 「お互いにな」

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