フェスト
光からは、親フェンリル達の温かみがあり不安を消し去っていきました。
そして全身の細胞一つ一つから、強い力が湧き上がってくるのを感じます。
全能感に包まれ、髪の毛一本一本に至るまで新しく作り替えられていくのが分かります。
「倒すぞ」
子フェンリルは頷くと、僕達から荒々しくうねる炎の魔力が流れ出ます。
「ファミリア!」
神獣のみが扱える聖なる魔力が高まり続け、僕達の全身を包み込みます。
攻撃をするため埋まっている山から抜け出そうとすると、キメラからの魔法が打ち込まれます。
親フェンリル達がいなくなったので、その分が多く僕達に向かいます。
全弾浴び大きく煙が舞いますが、今では防御をせずとも受け止めることが出来ました。
僕は山を踏み込み、空中では足元に小さな土台を作り直線に上空を駆け抜けます。
子フェンリルは地面をジグザグと走り、進化していた親フェンリル以上の動きを見せています。
そして、並走していた僕を追い抜いていき一人でキメラに向かいます。
キメラは迎え撃つように、大きなオークキングの腕を振り下ろしました。
それに対し子フェンリルは、魔力を高く練り上げ真っ直ぐ突進していきます。
二つの膨大なエネルギーがぶつかり、衝撃波が山揺らします。
そしてその中心には腕が無くなったキメラと、月夜で暗く照らされた一匹のフェンリルが空に向かって吠えていました。
僕は魔法で白銀の剣を取りだし、全魔力を高め構えます。
全身の聖なる炎の魔力を剣に込めると、赤く輝き炎を
僕は子フェンリルの一撃でノックバックした、キメラの胴体に接近し一刀振り上げます。
世界を破滅させるほどの威力を持った斬撃は、キメラを切断するだけにではとどまらず木々を切り倒し、山をも切断し空中に消えていきました。
「僕の魔王になる計画が」
キメラは傷口から発火し燃え上がり塵一つ無く消え、そこには戦闘痕だけが残っていました。
僕は見る影もない山を魔法で元に戻し、綺麗な姿を取り戻しました。
「新しいお家に帰ろう。」
「うん!」
僕達はその場を後にし、山を降り家に戻っていきました。
「お前名前あるのか?」
「神獣はあんまり数がいないから無いよ!」
「じゃあ無いと不便だから考えてやるよ」
僕は子フェンリルの頭を父フェンリルが撫でたように、わざと荒っぽく笑いながら撫でてやりました。
脳内では、名付けの為色んな辞書を開いています。フェンリルの一部は取りたいと思っていて、他に相応しい言葉は無いかとフル海底で探します。
するととても良いものを見つけました。
ストルゲー。意味は家族愛。
これ以上ピッタリのものはありません。
フェンリルとストルゲーを合わせます。そして幸せの意味を込めた良い名前を思いつきました。
「フェスト!家族愛のストルゲーにフェンリル、そして賑やかな祭りのように幸せになって欲しいって意味でフェストだ!」
「よく分からないけど何となくそれが良い!」
フェストは、しっぽ振り回し喜んでくれました。
ただ一つ考えていた時に気になった事があります。
「お前オスだよな?」
「知らなかったのかよ!」
フェストは、ジャンプして胸に飛び込んできます。驚きながら抱きしめると、腕を噛み付いてきました。
あまり痛くない甘噛みをされ、僕はそのまま家まで抱っこして連れて帰ることにしました。
帰り道、暗かった道はだんだんと朝日が上がり明るくなっていきます。
今世で初めての朝日を二人で見ました。
とても綺麗だったです!
次は家族全員で見たいと思いました!
家に着き、中に入る前に生活魔法で綺麗にし二人で部屋に入ります。
すると妹からのテレパシーが入り、ずっとミルクとトイレを我慢していたらしく、早く早くと急かされてしまいます。
ぱぱっと終わらせ僕は、妹に新しい家族を紹介しました。
妹は大きく喜び、フェストに手を伸ばして握手しました。
お腹が減ったので適当に食べ、家に残っていた僕のコピーと入れ替ります。
そして僕達は、一緒のベッドで抱き合って寝ました。
二時間後、僕とフェストはママの叫び声で起床しました。
パパは公園で会った時、保護して家で飼おうと思っていたらしくすぐ許してくれたのですが、ママは妹が小さいからダメ!と否定しました。
ですが肝心の妹が気に入りダメと言うと泣き出してしまい、渋々うちで飼うことに了承してくれました。
数日が経つとフェストのつぶらな瞳攻撃にやられてしまい、ママが一番可愛がっていました。
(ファミリア)
愛情の分だけ強くなる
愛している人全てに強力な力を付与する。
愛情が無くなるまでこのスキルは無くならない
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