第70話 終わり良ければいいよね!? 3

ライブが終わって家に帰ってきた。

私よりしばらく遅れて蛍ちゃんも帰ってきた。


二人で夕飯を食べて、そのあとはリビングのソファーで二人でテレビを見ていた。


それで、見ていた番組がちょうど終わったころ。

「ねぇ、飛鳥ちゃん。私と付き合うか決めた?」と。

ふいに蛍ちゃんが言った。



「え?……えええっ?」

いきなりのことに思いっきり叫びそうになる。

そんな大事な話をさり気なく日常会話に混ぜないでほしい。

あんなに昨日、一日かけて悩んで結論を出したばかりなのに。


「何で、急に? 昨日、今は決めれないよって話したばっかりだよね?」

私はびっくりして蛍ちゃんを見た。



「うん、でもせっかく毎日一緒にいれるんだから。

私のこと、たくさん意識してほしいなって。飛鳥ちゃん優柔不断だし」


……なんか褒め言葉じゃないものも混じっていた気がするけど、それは置いておいて。


そう言うと蛍ちゃんは私の真横に座り直した。

元からソファーの隣に座ってはいたけど、もっと、ぴったりくっついて肩も腕も触れ合うくらい隣にいる。

私は自分の顔が熱くなっていくのが分かった。


「意識、してるよ! してるって!」



「何か足らないんだよね。あと一歩っていうか。……うーん、そうだなぁ」

そして、蛍ちゃんは私の腕に手をかけると

「……もう一回、する?」

って、聞いてきた。



「な、何を? しないよ! しないしない!」


「しないの?」


「しないよ! 昨日だけ!

お姉ちゃんと妹って、そういうことしないからね……!?」


そう言う私に、蛍ちゃんは「うーん、そっかぁ」って首を傾げた。



「じゃあ、付き合う?」

そして、私を見てちょっとだけいたずらっぽく笑った。




蛍ちゃんは、本当にすごく可愛い。


もちろん、外見だけの話じゃなくて。

蛍ちゃんのどんなところも大好きで大切で。

毎日一緒に暮らしていればたまにはケンカもするかもしれないけれど、

この気持ちは絶対に揺らぐことはなくて。



だけど、私たちの関係は今はまだ──。


家に帰ったら推しの同期(ライバル)が居た件。


完。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る