第15話 再会
あの事件から、一週間ほどの期間が経った時、ケータイ電話が着信を知らせた。
知らない番号だ。
「ーーもしもし」
「ーーオレだけど鈴原カイト《すずはらかいと》」
「あの時はすまなかったーー」
受話器の向こう側にいる鈴原には見えないだろうが、俺は頭を下げた。
「ーーところでさ、これから会えないか?」
示談金もまだ渡していない。
鈴原から誘ってくれるとは思っていなかったが、おそらくこの金の為だろう。
鈴原の指示通りに待ち合わせた場所は街頭が少なく、あまり人通りのない場所だった。
pm9時ジャスト。
あの時の鈴原カイトが到着する。
「ーー久しぶりだな」
あの時とは違い、人が良さそうな顔をしている。
「あの時は本当にすまなかった、ケガの具合はどうだ?」
拓海は深々と頭を下げた。
「もう大丈夫ーーそんな何回も謝るなよ!そんなつもりで呼んだんじゃないんだから」
鈴原が笑った。
「あの時、止めてくれてありがとう」
鈴原が少し頭を下げる。
深呼吸して、彼は更に話を続けた。
「俺さ、あの時揉めてたヤツーー
鈴原はそう言って深く頭を下げる。
俺は金の為に呼ばれたのかと思っていたが、そうではなかったんだと思った。
「ーー俺で良ければ、これからも仲良くしてくれないか?」
拓海は言った。
「ーーこちらこそ色々あったけど、仲良くしようぜ!」
ハハッ、、ハハハッ、、。
二人で声を上げて笑った。
この日から、俺は鈴原と急速に仲良くなり、常に一緒にいる親友の様な存在になった。
それから一ヶ月くらいが経った頃だろうか。
何の前触れもなく、カイトが言った。
「なぁ、拓海ーーお前にも会ってもらいたい人がいるんだ。会ってくれないか?」
「いいよ」
俺は軽い気持ちで引き受けた。
会ってもらいたい人ーーそれはどんな人だろう?
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