第24話 家具の調達
コリアンハウスに住んでいたときは、家具が備え付けだったのですが。その後、引っ越した先は何もなく。かろうじて前の人が置いていったベットマットレスがあるくらい。
これらは自分で調達せねばらないのです……。かといってね、新品の机とか、椅子とか家具とか。留学生には高すぎるわけです。私も手元にある資金は、バイト代+親戚がくれたお小遣い、だったので。
学生ビザで入っている人間がバイトするのは不法なもんで。外でバイトもできないし。なお、大学内の施設でのアルバイトならいいらしいです。流石に大学施設内でのバイトは、英語力的にチャレンジする勇気がありませんでしたが……。
そして取り出すはノートPC。例の「情報サイト」の登場です。ここで、留学生同士が、モノの売り買いをしてるんですね。地域ごとにあるので、近場で買い手を探している人に出会えます。
「見つけた! まじか、IKEAのおっきい机が10ドル!」
激安価格です。ありがたい。早速売り主に連絡を取り、しかも家から近かったので、その週のうちに取りに行きました。
だが、私は考えていなかったのです、帰り道のことを。
ドアベルを鳴らすと、中からインド系と思われる女子学生と、ヨーロッパ風の男子学生が。
「こんにちは、机買いに来ました」
「いらっしゃい。これだけど、どうかしら」
「あ、めっちゃいいっすね。もらって帰ります」
「車はどこ?」
「徒歩です」
「は?」
体力バカで、重いものを持ちなれている私は、机を担いで帰ろうとしていたのです。
高校の時とかは、剣道防具+汗で濡れた道着+竹刀+木刀+エレキギター(バンドもやってた)を担いで、1時間くらい歩いて帰ってたりしたので……。机ひとつくらいなら余裕だな、とふんでいたのです。
明らかに動揺する学生カップル、そして、かわいそうなものを見るような目で見られている……。
「ダーリン、送ってってあげてくれない?」
彼女のその一言で、男子学生が家まで机を車で運んでくれることに。いやあ、助かった。
アメリカに住んでる人、基本的にはみんな優しいのです。ニューヨークの街中でも、スーツケースを自力で階段上まで運ぼうと背負っていたところ、隣を歩いていた男性が代わりに担いで運んでくれたり。(たまに単なる泥棒のときもあるので注意は必要)
困っているときは、必ず誰かが声をかけてくれました。
アジア人は懐に入るととても良くしてくれますが、対他人に対しては、欧米人のほうが優しい印象があります。
なお、その後、机用の椅子を留学生友達がくれることになったのですが。やはり徒歩で取りに行きました(懲りない)。
ただ、キャスター付きの椅子だったので、途中までは素手で運び、人が周囲に歩いてないときは、そのまま乗って滑走してスピードアップしながら自宅まで帰りました。
いやあ、本当に、勢いだけで生きていました。
今はもうちょっと考えて動けるはず。
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