第20話 モノマネ

 語学学校あるあるだと思いますが。

 だんだん仲良くなってくると、お互いの言語を教えあったり、その言語の面白いフレーズとかをモノマネして、ふざけ合ったりしてました。


 私は初め、韓国人の女の子の電話応対を真似しはじめました。

 可愛いんです、とても。


 ものすごーい可憐な声で、小首を傾げながら、「ヨボセヨ? オッパ?」って言うんです。もしもし?(男の)先輩? と言う意味です。ちなみに。


 で、これをかなりオーバー目にモノマネしてたら、韓国人の友達にばかうけして。

(きっと、平野ノラさんばりの誇張具合だった)


「イチカの国の言葉も教えてよ、面白いやつ」と言われ。


 悩んだ挙句、これを教えました。なんでも全力投球の私は、演技指導から始めることに。


「力抜いて! で、気だるそうに立って。はい、そうそう。で、表情は苦笑いで『面白いんだけど』って言って」


「オモシロインダケド(ニコッ)」


「違う! めっちゃつまんなそうにして!」


「(困惑)えっ、でも面白いんでしょ?」


「渋谷ギャルは、素直じゃないから。そんな簡単に爆笑みせないから。プライド高いから(偏見)で、たいして面白くなくても、面白いっていうから」


「オモシロインダケドー」


「そう! いいよいいよ! 伸ばし棒いいよ! で、手も叩いてみようか。リアクションあった方がソレっぽいから」


「(困惑)」


 熱血指導により、渋谷ギャルの笑い方をマスターしたユナちゃんは、日本人の多いクラスで爆笑をかっさらっていました。


 ただ、あまりにリアルだったので、「一体あれは誰が教えたんだ……」と、若干噂になっていたとか……。

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