第11話 賃貸トラブルにも程がある
サイトで見つけたルームメイト募集中の連絡先にメールを出し、その後面談の日程が決まりました。
少し古めのカントリー調のタウンハウスを訪ねると、そこにいたのはA大学に通う学生である、フェイ、リンダ、ティファニー。
三人ともアジア系で、感じが良く、部屋も今住んでいるところと違い、一人部屋だったので、安直にもすぐに入居を決めた私。
今の自分がその場にいたとしたら、一旦持ち帰れとこっぴどく叱ったことでしょう。
そして入居日の日取りを決め、引っ越しの準備を進めていた所に、事件が起きたのです。
未登録の番号からの着信。
一体誰かな、と思いながら出てみると、なんだか狼狽した感じのフェイからの電話でした。
「もしもし、イチカ?」
「あ、はい、そうです」
「大変なの……一回うちに来てくれる?」
「あ、はい」
緊急を要する感じだったので、その日の午後、フェイの待つタウンハウスに向かいました。
タウンハウスに着くと、なんか暗い。
あれ、こんな暗かったっけ、この家?と思いつつ、ドアを開けると。
中には、一人佇むフェイの姿が。
そして「暗い」と思った理由が、ここで分かったのです。
「え、家具も照明もなんもない……」
そうなのです。なんと部屋の中は、フェイの自室以外はもぬけのカラ。
実はフェイのことが嫌いだった他二人が画策し、彼女が彼氏の家に泊まった日を狙って、夜逃げを敢行したのです!
照明まで持っていったところを見ると、よほど恨みが深かったと思われる。
で、ここで私も断れば良かったのですが。
泣き落としをされて、断れず。結果入居することになり、その後フェイが自分の趣味で勝手に買ってきた、照明と家具の使用代金を毎月払わされることに……。
しばらくして、私もやはりこの彼女との生活が嫌になり、メキシコへの一週間の逃亡生活(?)を経て、留学中二度目の引っ越しをしました。
なお、夜逃げした2人からも後日連絡が。「フェイはやなやつだから、私たちと住まない?」とのこと。
夜逃げするような奴らを信用できるかああー!
……おっと失礼。忘れていた怒りが爆発してしまいました。
留学生諸君、おうち選びは慎重に☆
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