第5話 横海、剣道部の門をたたく

「イチカ、何やってんの」


 声をかけてきたのはルームメイトの韓国人留学生、ユナ(仮名)。

 ほとんど年が変わらなくて、一番中の良かった留学中の友達。

 当時私は、台湾人1名、韓国人2名と同室で暮らしていたんです。


 それぞれ皆個性的でいい子たちだったのですが、その話はまた今度、ということにしておきましょう(長くなるからね)。


「部活始めようかと思って。ほら」


「え、剣道? えー、すごいね、やってみるの?」


「うん。ほら、語学学校だけだとさー、現地の英語学べないじゃん? 先生もだいぶゆっくり喋ってるしさ。とりあえず、メールしてみるわ」


 ウェブサイトには、剣道部の主将の連絡先が載っていたので、即メール。

 本当に、このときは、「思い立ったら即行動」の学生でした。


 それから数日後、剣道部の主将マット(仮名)からメールの返答が。


 中身はたしかこんなかんじだった。

《イチカちゃん、メールありがとう! 剣道部に興味を持ってくれて嬉しいよ。日曜日、大学の体育館で稽古があるから、ぜひ見に来て!》


 しかもこのメール、日本語で返ってきたのです。英語で送ったのに。


 のちのちわかることですが、剣道部主将は、日本ヲタだったのです。

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