第20話 芽美の策略

何だかいけない事をしている気分になってしまう。

俺は気持ちを新たに切り替えなければと思いつつ苺を食べてからの翌日を迎える。

朝日は昇るが.....かなり複雑な思いだ。


何故なら今日は.....天龍と天翔の母親の命日だ。

俺は少しだけ複雑な顔で歩き出す。

今日も日差しは眩しいが、だ。

すると背後から、どうした。陰気臭い顔して、と声がした。


その顔を見る為に背後を見ると。

そこに戸畑が立っていた。

少しだけ不思議そうに、だ。

俺はその戸畑に説明した。

実はな、と言いながら、だ。


「ああ。そうなのか.....それは察しが悪かったな。俺が。すまん。本当に」


「いや。謝る事はねぇよ。そもそも知らせてない俺が悪い」


「でも.....そうなんだな。.....確か天翔ちゃんが一番の発見者だっけか」


「彼女が一番傷付いていると思う。.....だから俺がサポートしないといけない」


「成程な」


すると背後から声がしてきた。

それは芽美だった。

少しだけ複雑な顔だが笑顔で、だ。

それから芽美は、聞いたよ、と言ってくる。

俺は少しだけ見開きつつ、そうか、と言った


「今日は命日なんだね。.....あの子達のお母さんの」


「そうだな。.....ってかお前.....何処で聞いたんだ」


「うん?スマホで」


「え?」


「つまりSNSだよ。天龍ちゃんと天翔ちゃんと一緒にやってるの」


「.....」


何時の間にそんな繋がりを.....。

思いながら俺は更に複雑な思いに駆られる。

兄を置いて何をやっているのだ。

俺の個人情報の扱いより酷いな.....。

思いながら俺は顔を引き攣らせた。


「まあ良いや.....でそこで知ったんだな?」


「そうだね。それで教えてくれたの。.....い・ろ・い・ろ」


「そ、そうか.....」


ニコッとしながら恐怖な感じを見せる芽美。

そんな感じの様子を見ながら戸畑は、まあそれはそうと命日なんだな?だったら花とか贈る方が良いな、と言う。

俺は、だな、と言ってから戸畑を見る。

戸畑は、帰りに花屋に寄るか、と言ってから歩き出した。


「戸畑。妹ちゃんは元気か」


「.....あれ以降姿を見せないが.....まあ元気なんじゃねーのか」


「そうか。だったら良いんだが」


「この前は世話になったな」


「まあ気にすんな」


芽美が、もしかして戸畑君の妹さんに?、と聞いてくる。

俺はその言葉に頷きながら答えた。

そうだよ、と言いつつ、だ。

俺はそれから、実は元気そうな顔が見れたんだ、と言う。


「今度は俺がお前に恩返ししないとな。和奈」


「.....まあ程ほどで良いけどな。お前の恩返し」


「そうは言うけど。そもそもにお前の双子が居なかったら.....なし得なかった事もあるからな。.....だから恩返しは必要だと思うから」


「成程な。んじゃご厚意には甘えるぜ」


それから俺達は笑み合ってから。

芽美とも笑み合った。

すると芽美が何だかモジモジし始める。

それから小声で耳打ちしてきた。

ねえ。それはそうと2人とキスしたの?、と。


「え!?何故それを!?」


「したんだね.....ふーん.....」


「い、いや。あれは不意打ちだったんだ。マジに」


そうして話していると戸畑が?を浮かべて見てくる。

俺達は首を振りながら、何でもない!、と言いながら.....そのまま歩き出す。

まさかそんな事を言われれるとは思って無かった。


俺は真っ赤に赤面しながら.....ボッと顔を赤くする。

それから.....芽美を見る。

芽美は何か考え込んでいた。


これから先.....私は何をしようか、的な感じで、だ。

俺は.....その姿に苦笑しながら.....登校した。

何をされるんだろう俺。



今日は命日。

俺は.....天龍と天翔の事を思いながら.....窓から空を見上げる。

それから考え込む。


どうしたらサポート出来るか。

またどうしたら.....悲しませずに済むのか。

俺は思いながら考え込んでみる。

まあいくら考えても答えは出ないと思うが。


「.....取り合えず今は出来る事だけをやるしかないか.....」


そう思いながら目の前を見て俺はビビッた。

何がと言えば.....目の前に芽美が居たから、だ。

俺をニコッとしながら見てきている。

気付いてほしい感じで髪の毛を弄っていた。

そういえば.....髪留めが桜の模様になっている。


「どうしたんだ?髪の毛。.....桜の髪留めになっているぞ」


「あ。気付いてくれたんだ。嬉しいな」


「.....相変わらずお前らしいな。そうやって気付いてほしかったらある一定の行動をするの」


「そんな事無いもん!何言ってんだか。全く」


「いや。そうだろお前」


俺は苦笑しながら芽美を見る。

芽美は頬を膨らませて横を見ていた。

俺は.....芽美を見つめる。

芽美は、あ。それはそうとえっとね、と話をしてきた。


「和奈。一緒に今から中庭に行かない?」


「.....中庭?.....行ってどうするんだ?俺あまり動きたく無いぞ」


「そんな事言わないで。.....行こう?和奈」


「分かった。何があるのか分からんが行くよ」


だが.....これは実は芽美の罠だったとは。

策略だったとは。

この後に気付く事になる。


俺はこの後教室を出てから.....空き教室に用事があると芽美に招き入れられ.....そのまま鍵を掛けられた。

出れなくなってしまったのだ。

これこそが策略か!

っていうか何をする気だよ!、と思う。

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