咲く二輪の華は俺の世界を変えるだろう
アキノリ@pokkey11.1
家族になる為に
1、俺は家族は.....もう良いんだが。
第1話 その終わった世界に咲く花(編集)
ある日の事である。
春がもう直ぐ来るという感じの2月1日。
公立高校生の水沢和奈(みずさわかずな)という俺に小学生の双子の義妹が出来た。
17歳で.....まあ何というかまだ思春期真っ盛りなのに思春期真っ盛りの小学生の義妹.....信じられない。
それぞれショートカットとロングヘアの女の子である。
12歳の双子であり.....姉妹では無い。
とても可愛らしい美少女に該当する女の子達だがそれぞれの名前をこういう。
片方が日焼けした肌を持っている爽やかな笑顔を浮かべる八重田天龍(やえたてんりゅう)さん、12歳。
片方は日焼けしてない少しだけ内面な感じの肌を持っている八重田天翔(やえたてんしょう)さん、12歳。
かなり格好の良いそれなりの名前をしているが.....この名前は亡くなった母親と家族で付けたという。
もう少し特徴を述べるとするなら天龍ちゃんの方は笑顔が絶えない。
家族を守る様な感じの正義感が強い。
ラフな服装をしており八重歯が特徴的な活発な女の子。
そしてもう片方の龍が飛翔するという意味で名前が付けられたおとなしめで少しだけ着込んだ様な服装をしている。
フルーツの柄の髪留めを着けているあまり活発で無い天翔ちゃん。
本ばかり読んでいる。
活動は.....かなりおとなしめの女の子。
こんな2人がある日、俺の義妹になった。
本当に全てがいきなりで頭がついていかないのだが.....。
何故こんな事になってしまったのか。
それは.....今から1日前に遡る。
俺が学校から帰って来るなり、の話である。
☆
そもそも俺、水沢和奈はそんなに活発では無い。
幼馴染の女の子が居るがまあフラれた感じの日を過ごしている。
そんな感じの男である。
何というか成績も優秀では無いし俺は動きもそこそこではない。
その為に全てが秀でている訳じゃ無いのだが。
本当にこんな俺は生きている価値なんて無いと思っている。
だけど.....親父が自殺して死んだからそういう訳にもいかなくなった。
母親を守る為に、だ。
守るべきは俺ぐらいしか居ないのだ。
だから。
でも今の状態は本格的に神を恨むぐらいだが.....だけど恨んでも仕方が無いしな。
思いながら.....俺はフラフラと日常を生きていた。
それからフラれた幼馴染と帰り道で別れてからそのまま帰宅する。
すると目の前に見知らぬ少女が居た。
「あ!」
「.....?.....誰だ君は.....」
「初めまして!兄貴!アタシ、八重田天龍!宜しく!」
「は?.....え?は?」
俺は目をパチクリしながら目の前の天龍と名乗るその少女を見る。
外見はかなりラフな服装。
2月とは思えない服装だ。
俺よりも20センチぐらい身長が低い。
それから笑顔で俺を見ている。
八重歯が特徴的なショートカットの少年の様な少女。
ニコニコしているが.....誰だコイツは。
知り合いにこんな子は居ない。
「君.....何?」
「あれ?聞いてないの?兄貴」
「.....え?」
「アタシと天翔と兄貴は今日から兄妹なの!」
「は?」
何これ。
ゴメン状況がさっぱり分からない。
俺は???を浮かべながら直ぐに母親に電話しようとしたのだが奥からその肝心の母親が出て来た。
それから、あら。お帰り、と笑顔を浮かべている。
え.....知っているのかこの状況を。
「今日から家族になる.....天龍ちゃんなの。.....報告が遅れて御免なさい。私ね.....大体話していたけど再婚したの」
「.....え.....」
「そういう事だよ。兄貴♪今日から宜しくお願いします!」
「.....」
俺は少しだけ複雑な顔になる。
その様子は母親はその反応は予想外だったのか俺を慌てて見てくる。
顔を顰める。
こういう事をするとはな、と思ってしまった。
何の為に俺は親父の為に.....。
「ちょっと待て。親父の事は忘れたのか。.....母さん」
「そ、そういうつもりじゃ無いの!えっと.....」
「俺に事前の相談も数回だけで再婚なんて.....本当にするとは。親父が悲しむぞ」
「か、和奈.....」
俺は天龍ちゃんを睨む様に見る。
青ざめながらビクッとした天龍ちゃん。
この子は何も悪くないが.....所詮は赤の他人だ。
俺は.....かなり嫌気が差してそのまま駆け出して行ってしまう。
こんな事になるとは思ってなかった。
馬鹿なのか母さんは。
正直嫌だ。
再婚なんて、と思いながら涙を浮かべた。
自殺した親父が.....可哀想だ。
幾ら何でも!
そして俺は家から10メートルぐらい離れた近所の公園に駆け出して行く。
それから息を切らしてブランコに腰掛けた。
ブランコはキシキシいう。
このブランコによく俺は連れて来てもらっていたのだ。
親父により正確に言えば.....うつ病による自殺だが。
死んだ。
「.....親父.....」
そんな事を呟きながら。
ブランコを嫌味に動かす。
夕暮れ時に俺は一人で、だ。
すると横の奥から、兄貴、と声がしてきた。
その声にビクッとしながら顔を上げると。
そこに天龍ちゃんが立っていた。
俺を困惑しながら見ている。
そして切り出してきた。
「ぶ、ブランコ好きなの」
「.....そういう系じゃないけどね。.....でも俺は思い出があるんだ。このブランコにはね」
「じゃ、じゃあ私もブランコ乗るよ」
「.....?」
それから隣のブランコに腰掛ける天龍ちゃん。
俺を、えへ、と笑みを浮かべて見てくる。
配慮した様な控えめの笑みで、だ。
その顔を見ながら複雑な顔をして前の夕日を見る。
それから、離れたい。別の場所に行こうか、と思った時だった。
突然、天龍ちゃんがこう言い出した。
「.....アタシも.....お母さんが自殺したの」
「え」
「聞いちゃったけど.....兄貴のご両親も自殺したんでしょ。お父さんが.....」
「ああ」
「ゴメンね」
シュンとしながら謝る天龍ちゃん。
何がゴメンなのか。
腹立たしい気がする。
それから、お前が謝る必要は無い、と思いながら天龍ちゃんを見る。
天龍ちゃんは、でもね。これは知ってほしい。私は.....本気で兄貴が家族として好きだから家族になりたい、と言ってくる。
楽しみにしていた、と言葉を発しながら、だ。
そして涙目になる。
「兄貴。.....私達は家族になりたい」
「.....すまない。俺は.....もう家族ってのはゴメンなんだ。親父が俺を取り残して死んだ時からもう全てを諦めたんだ」
「兄貴.....」
「ゴメンな」
「じゃ、じゃあ.....どうやったら家族として認めてくれる」
「.....え?」
ブランコから立ち上がりながら。
俺に、イヤイヤ、な感じで縋って来る天龍ちゃん。
その姿を見ながら.....俺は慌てる。
そして、離してくれ、と言うが。
天龍ちゃんは、嫌だ、と言いながら強く縋る。
それから俺を見てくる天龍ちゃん。
「.....アタシ達を家族と認めるまで.....ぜーったいに離さない!!!!!」
「そんな無茶な事が.....」
「兄貴.....お願い。お願い。ずっと楽しみにしていたから.....!!!!!」
「.....!」
『和奈』
ふと.....だが。
今までずっと聞こえなかった親父の声が聞こえた気がした。
俺は.....その事に盛大に溜息を吐きながら天龍ちゃんを見つめる。
その天龍ちゃんは涙目で俺に縋っていた。
俺はその天龍ちゃんを見ながら、今は認められない、と言う。
天龍ちゃんはビクッとして俺を見上げてきた。
だけど、とも言う。
「.....だけど.....君の努力は.....認める。頑張るよ。俺。君達を認めれる様に。
家族として」
「本当に!?兄貴!」
「ああ」
「じゃあ.....早速だけどアイス買って!」
「このクソ寒いのに!?」
親父。
今は.....一歩は踏み出せないと思う。
だけど.....きっとその一歩を踏み出した場合。
俺の世界は明るくなるだろう。
思いながら.....俺は笑顔になった天龍ちゃんを見た。
今は無理でも、と思いながら、だ。
でもきっと無理かもしれない。
そう考えながらも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます