その魔法の船の中では腹が減ることはなかった。しかしその中で俺はすくすくと成長を遂げた。それはとても不思議な感覚だった。よく考えてみると、魔法が俺の成長を促していたのかもしれないと思った。恐るべし魔法。俺はその中でデビルベアーに習っていた基礎知識を思い出していた。この先はどこに続いているのかも分からないし、モンスターははびこるこの世界で生きていかなければならないからだ。とはいえ、俺は人間を見たことはないから、人間に仮にあったとしてもどう対応して良いかは分からない。もしかして魔物の臭いがついていることで人間に敵認定されるかもしれない。それにしてもどれほどの時間がたったであろうか。数週間、あるいは数か月か。眠るように、いや実際ほとんどの時間を寝ていた。しかし、この船の中では時間の感覚がほとんどない。まるで無数の時計の中に閉じ込められたような感覚。ちなみにある程度の物であればおれは知っている。なぜならばデビルベアーの父と母の家に暮らしていたのだが、たいそう豪華な家であった。それらはすべて拾ったものであったとの事だったが、真相は分からない。人間の物が我が家にはいくつもあった。もしかして人間と仲が良かったのかもしれない。あるいは闇ルートで手に入れたか。それは分からないがいずれにせよ。我が家は文明的? であった。そこそこであるが。動物を狩って食べ、野菜を育て食べ、山の幸、川の幸をふんだんに使った料理の数々。今思うと信じられないぐらいの箱入り息子として俺はデビルベアーに育てられたのだと認識をしたのである。

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