第2話街道にて
森を抜ける道を案内すると、あっという間に抜けることが出来た。
そこで彼は私に「じゃあな」と手を振って別れようとする。
「ね!一緒に行ってもいい?この森はもう飽きちゃったし、またスライム仲間が見つかるか分からないし・・・」
「借りも返したし、もういいだろう。大体何年もこの森で棲んでいるんだろうし、外の方が危険じゃないか?」
「うん・・・そうなんだけど・・・」
なんと言ったらいいか分からないけれど、彼についていきたいと私は思った。
森は退屈だったし、それに・・・。
「なんかあなたはほっとけない。それにこの世界に来たばっかりなんでしょ?」
「まあ、そうだが知識はある程度あるぞ。まあ半年くらいしか学べなかったが」
どこで学んだのだろう。フラッと現れたし、不思議な人だと思った。
私はしつこく食い下がる。
「じゃあ・・・魔術の弟子にして!それなら、ついていく理由になるでしょ?」
「うーん・・・俺は才能がないぞ?簡単な魔術ですら数か月かかったんだ。教えられることなんてないと思うが・・・・」
ウルウルとした目で彼を見る。私の必殺技だ。・・・これで落とせなかった者はいない!
「はあ・・・仕方ない。ただし、襲うなよ?」
「えー。うーん・・・わかった」
彼は了承してくれた。私の必殺技に参ったようだった。
それは突然だった。街道に人が立っていると思ったら。
「おい。荷物を置いていけ」
人間に脅迫された。斧をもっている。数は3人くらい。
「・・・まじかよ」
彼は怯えているようだった。それはそうだ、相手は武器を持っているし数も多い。
「わ、わたしは他人だよー!」
口笛を吹いて他人のフリをした。
「あいにくと荷物はこのスライムだけだ。申し訳ないが・・・」
「なら死ね!」
斧で斬りかかってきたようだ。彼は紙一重で後ろに避けたようだった。
「やるしか・・・ない!」
彼は自分に言い聞かせるように言うと、魔術を展開した。
「ウェポンサモナー!」
コバヤシが手元に出したのは、ショートソードだった。剣を相手に向ける。
前方に3人、普通であれば勝てるようには見えない。
「おとなしくすれば、楽に殺してやるよ。そのあとは・・・」
私を見て彼らは舌なめずりをする。
「とりあえず魔物でもいいからすっきりしたかったんだよ。あそこのスライムは森から出てこないから、ラッキーだったな」
「・・・えっ!」
「お前は他人だったな。こんなブ男に犯されるのがいいならそれでも俺は気にしないが」
「ごめんなさい!無理!」
彼らの癪に障ったのか、今度は私もにらんできた。
「お前も殺してやろうか!」
私はコバヤシに、助けてオーラ全開でウルウルする。
「はあ・・・3度目はないからな」
コバヤシは私を抱えると、一目散に逃げた。
「わわっ!」
私だって軽くはない。しかし彼は楽々と持ち上げると走る。
「俺は身体強化を魔術で行える。このくらいなら余裕だ」
ただ、と彼は続ける。
「あいつらは恐らく諦めない。・・・作戦があるんだが」
「_____。_____。」
彼は早口に作戦を説明する。
「えー!やだ!タイプじゃないし!」
「・・・3度目はないからな」
「はい・・・」
彼の圧力に屈する私・・・。シクシク。
「では、作戦通りに。頼むぞ」
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