スラ子の大冒険(ウェポンサモナーとスラ子の冒険のスピンオフです)

どれいく

第1話変な冒険者との出会い

_____私は、スラ子。スライムの女の子。森で群れで生活していた私は変な冒険者に出会った。


名前はコバヤシ。彼は自分が異世界転移者だと言った。


彼との出会いが私の人生の分岐点になるほどのものだと、分かったのはしばらく後の話。












「ねーついてってもいい?」


「ダメだ。お前は魔物だろう?群れに帰れ」


彼・・・コバヤシと言ったっけ。この男の人の精はとっても美味しそう。


「私、あなたのこと気に入っちゃったの!ねーえお礼もするからあ」


「お礼って言ったって・・・何をするんだ?」


私は性欲をあらわにして上目遣いで挑発する。


「気持ちよくするよー♪」


誘う私をみて彼はため息をつき、


「勘弁してくれ。お前を助けたのも気まぐれだし、俺はこの森を抜けなきゃいけないんだ」


「ふーん。変な人!」


私を無視して歩く。


「・・・」


「なんだ」


「もうここ、2度目だよ?迷ってるでしょ」


私なら、この森を抜ける道を知ってる。・・・聞いてはこないけれど。


彼はダガーの先に炎の魔法で松明代わりにして歩いているが、それ以外には何も持っていないようで、方向を見定めるのに苦労しているようだった。


「案内してあげてもいいよ」


「代わりに精を要求するのか?」


「・・・いいの?」


「ダメだ。他にしてくれ」


精がもらえないのは残念だけど、代わりに欲しいもの・・・。そんな事を考えてるときに、アクシデントは起きた。森の暗闇からがさがさと何かが動く音がする。


私は魔物、暗闇でもある程度は見える。奥に動くものが見えた時、びっくりした。


あれはカリュドーン、魔獣の中でも弱いけどとても私では勝てない。


「コバヤシ、あれ・・・!」


何か言う前に暗闇からその獣が飛び出してきた。


「・・・!」


突進する影を彼はギリギリで避ける。体長は1mほどだ。


カリュドーンは彼に攻撃すると、少し腰が抜けて動けなくなっている私に標的を向けた。


突進は打撃。ダメージはないだろうけど当たればすっごく痛い。


「わわ・・・!いじめないで・・・!」


獣が突進を開始する。その時!


「ブギイイイイ!」


目を瞑っていたので分からなかったけど、悲鳴が聞こえた。


「くそっ・・・!死ね!」


目を開けると、カリュドーンの頭に彼の持っていたダガーが刺さっていた。獣に致命傷は与えられなかったのか暴れまわっている。


「うわ・・・!」


放り投げられると、彼は受け身も取れずしりもちをついた。


「いてて・・・」


「ブギッ・・・!」


頭にダガーが刺さったままカリュドーンは逃げて行った。


私は出会った時と同じように、彼をみて呆けていた。


「どうして・・・助けたの?」


「そんなの・・・決まってるだろ。助けてって言ってたし、お前を置いておいて俺だけ逃げるのか」


「変な人・・・」


「それより、借りはできたよな?出口へ案内してくれ」


コバヤシは腰が抜けた私に手を差し伸べる。私は思わず笑って、「いいよ」と言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る