#Interlude02 *  葛島隆介はヴェロニカを奪いたい



「あたし〜〜〜あくび丸先生の大ファンなんですぅ〜〜〜きゃあッ!! 実物もカッコいい!!」




な、な、なんなんだ。なんなんだこの、美少女は……。今まで様々な女に会ってきたが、モデルやタレント、グラビアアイドル、声優と多岐たきにわたる女を見てきたが。




——こんなレベチな美少女見たことねえぞ。すげえ破壊力だ。





整った顔はさることながら、くびれたウェストと程よく大きい胸。ながめていて飽きない身体つき。



こんな女をどこで見つけてきたんだ……春輔しゅんすけのやつ。

絶対に奪ってやる。奪ってむさぼりり食ってやる。

縛り上げて涙が枯れるまで責めて、服従させてやるからな。



春輔にこんな女もったいねぇよ。そうだ、いいことを思いついた。

サイン会が終わった後、ゆっくりと……いいぞ。

そうだ、いいことを思いついた。




全部奪ってやる。この女も、春輔の人生も、なにもかもだ。




「ありがとう。君、春輔の彼女? ほんとに!? 可愛いなぁ。春輔も別れたばっかりで早いね」

「彼女さんじゃないみたいなの。なんだか、P・ライオットのヴェロニカちゃんファンみたいで、似せてるんだよ。信じられないよね。隆介くん、ほら早くしないと後ろ詰まっているよ?」



ヴェロニカのファンだと……あのパーティー・ライオットのか。

ああ、なるほどな。実際、ヴェロニカのファンは多い。

この女もそうなのか。


パーティー・ライオットもいずれ頂く。あれはいい金づるになりそうだしな。

中身はどうせ、しょうもない女かメンヘラがやってんだろ。



それにしても、可愛い。今すぐにでも連れ込みてぇな。



せっかく白井萌々香しらいももかとかいうアホ女を捕獲したのに春輔の野郎、まったく効いてねえじゃんかよ。

まあ、萌々香は萌々香で利用価値があるから使ってやるが、海原かいばらあたりにお下がりとしてくれてやってもいいな。

もう飽きたし。これ以上服従させてもつまらねえし。

単なるメス犬に成り下がっちまったら、破棄するしかねえんだわ。



となりでヘラヘラされるのが一番うぜえ。萌々香はお下がり決定だな。



「ああ、そうだね。ねえ、君、もし良かったら一緒にお昼でもどう? もちろん、春輔と一緒に」

「えぇぇ!? いいんですか? どうしようハル君?」



どうせ春輔は来ないだろう。

だがな。この女は俺に興味津々だ。絶対に来る。

ここで来なかったら、今後俺と話せる機会も失うんだ。

来ないわけないだろう。もし、話に乗らなかったら仲間に後をつけさせて家の特定だな。それから、この女がひとりのところに偶然をよそおって現れてやるだけ。生活パターンを見極めれば、同じ行動を取って『運命』とかいう便利な殺し文句で落とせばいい。



簡単だろ。



「ハル君も行きたいって言ってます♡ ぜひ、ご一緒させてくださいっ♪」

「ふぁぁ!? あれ、俺、今全力で拒否したんだけど……」



こいつも来るのか。予想外だが好都合だ。 



「じゃあ、この後、11時に3軒となりのビル2階に入るイタリアンでいいかな?」

「もちろんですっ♪ ああ、楽しみ。先生からどんなお話聞けるのかな」



後ろ姿もいいぜ。ああ、たまらねえな。ケツまでいい。多少鍛えているんだろうな。

格闘技を習っている筋肉だ。キックか?



並ぶゴミどもが渡してくる本にサインを書いて戻す。不快だが笑顔のまま、「ありがとう」と唱えていればそれでいい。



「あ、最後のお客さんだねっ♪」

「ああ、予想以上に早く終わったな。11時まで30分近くあるよな」

「うん……あんなにいたのにね」

「よし、車に戻るぞ」

「うん。でもどうするの?」

「一回くらいイケるだろ?」

「えぇ……まだ昼間——それも午前中だけど……?」

「嫌なのか?」

「う、ううん。そんなことないよ」

「じゃあ、いくぞ」




アホ女で我慢するか。さっきの春輔の女を思い出したら、萌々香もかすんで見えるな。

これでアイドル声優のトップランカーだとは。



色々と終わってるな。




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