なぜか僕、モテてます

切音キウラ

本編

第1話 僕と姉

今から数時間前のこと。

僕はとある本屋に入った。元々読書が趣味で、欲しい本はなくても本屋に足を運ぶ。読書好きなら分かるだろうか。

学校の終業式の今日、午後の予定が無いのをいいことに本屋に入り浸っていた。


「もう5時半か…。帰ろ」


夏真っ盛りだから、まだまだ明るいけれど、姉さんが心配する。

体格に恵まれていない僕は、人混みに押し潰されそうになりながら、電車で数駅乗って家の最寄り駅に着いた。

家に帰っても特段やることはないので、大人しく夏休みの課題を進めることにした。

ある程度集中してやっていると、玄関の扉が開く音がした。姉さんが帰ってきたか。


「たっだいま~!治斗~?いるでしょ?ちょっと手伝って~?」


相変わらずのテンションである。とりあえず、呼ばれたので玄関に向かった。


「はいはい。何か?」

「冷たすぎる」


こんなやり取りなんて日常茶飯事でもう慣れた。とりあえず、姉さんの荷物を運びつつ、リビングに向かう僕であった。

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