第12話 必然?



 研究所長からの突然の呼び出しで、マルセリーノは所長室にいる。


「マルセリーノ統括教授、指令が出たで」

所長が言う。


「そうですか。で、どのような」

「うん、これ見てや」


 そう言うと所長が一枚の紙切れを渡す。マルセリーノは指令書を受け取ると目を通して、


「うーん、これって」

「まぁ、そう言うことや」


「然し、指令が出る前にムーが行ってたって、これも?」

「まぁ、君の理論から行くと、そう言うことやろな。いつの時か、何処かで必然が生まれて、それが幾重にも重なり合って出会いを生む。その必然は誰にも分からんところで生まれてるから、誰もが偶然と思うてしまう」

「え、それって所長の理論やなかったですか?」

「まぁ、どっちでもええがな」

「えぇ、まぁ、それはそれで」

「そう、それはそれで、行ってきてや」


「了解しました」

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