第16話追加要員見つからず

「今日はみんなお疲れ。いきなりだったのに、よく頑張ってくれてありがとう。これ、今日のお給料ね」


 ヘルプで来てくれたメンバーに、お給料を渡すと、みんな金額を見てビックリして目を丸くした。


 あまりにもビックリしてるから、少なすぎたかと思って焦ったけど、むしろ多すぎてびっくりしたんだそうだ。


 今日の実働は2時間ちょっと。


 テーブルとかの準備を含めても3時間かかっていないくらいだけど、お給料はきちんと3時間分払った。


 1人頭、銅貨30枚。日本円で3000円くらい。


 高校生のバイトの給料なら、地域差はあるにしてもそんなに悪くない金額なんじゃなかろうかと思う。


「ポーシャさんは別だとしても、みんなで銅貨20枚も貰えたらいいほうだと思ってました」


 いや、どんだけ安く使われてるんだよ……なんて思ったけど、あとで孤児院の院長さんに聞いたところ半日くらいの仕事なら何人でやってもせいぜい15〜20枚程度なんだそうだ。身なりの薄汚れた孤児たちにはそれでももったいないくらいだと言われることもあるんだそうだ。


 んー、こっちには最低賃金なんてものもないんだろうなあ。


 ちなみに、駆け出しの冒険者に回ってくる雑用もだいたい同じくらいの金額なんだそうですよ。


 そんな仕事が嫌でランクを上げるのに夢中になり、身の程に合わない依頼を受けて再起不能の怪我を負ったり不幸な事故にあったりする冒険者が多いらしい。


 怖いね、冒険者。


 オレなら例え銃があったとしても絶対にお断りだね。


「あの、それで、もしよろしければ明日もぜひこの子たちに仕事をさせてあげていただけないでしょうか?」


「もちろん構いませんよ。みんな、明日もよろしく頼むぞ」


 院長さんからのありがたいお言葉。もちろん断る理由はならない。今日もみんながいなかったら大パニックだったのは間違いないもんね。


「むしろ、できればあと数人追加していただくことはできませんか?」


「申し訳ありません。今日の子たちより年上の子たちは皆なにかしら職業訓練で将来のために現場で指導を受けていますし、逆に年下の子では、幼すぎて逆にご迷惑になってしまうかと……」


 ダメかあ。ここでならなんとかなるかと思ったんだけど……。


 となると、冒険者ギルドに依頼する? うーん、それはなんか違う気がするんだよねえ。


 ……サエちゃんか? いやいや、指輪がないから彼女はこっちにはこれないし……えーと……配達バッグに人間を入れられるなんてことは……あれ? あのマンションの不思議な女の人、人間や生き物は入れられないとか言ってたっけか?


 うーん……えーと……。


 うん、言ってなかった気がするぞ。

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