エピローグ

【[速度がマッハ]〈テスタメント〉part1002[鯖落ち不可避]】


 545 名前:NO NAME:14:41:33.77 ID:joidfa1fj

 おい、数日で加速しすぎだろ何があったんだよ


 549 名前:NO NAME:14:41:35.88 ID:ad45soad

 終了初日より衰えたとはいえ、これでも勢い実況スレ軽く超えてんな。避難所もすげー速度だし


 568 名前:NO NAME:14:42:37.58 ID:faffsja6

 結局、一人で騎士団潰したって話はマジなの? なんかドラゴンが飛んでるのは見たけど


 599 名前:NO NAME:14:53:35.41 ID:adgkslkq

 俺騎士団(まあ元ってことになるんだろうけど)だけど、その人一人に壊滅させられたわ。幹部瞬殺で後はまあ逃げたり他人のフリしたり


 606 名前:NO NAME:14:57:14.27 ID:jdsoja5

 ハンナさんな。もうあの人だけでいいんじゃないか状態。昔流行った一人旅団だよ


 624 名前:NO NAME:15:04:10.71 ID:gfako1j

 俺あの人の旦那の工場で修行してたわw アビリティあがりまくりw うめぇwww


 631 名前:NO NAME:15:11:41.78 ID:kahg1ur

 俺は普通にそこで働いてたな。割いいし優しいし。リアルだったらブッチギリのホワイト企業だわ。おまけに装備は安くしてくれたしな。まあ、俺はバトってないから知り合いに譲ったけど。


 637 名前:NO NAME:15:12:51.88 ID:kahgdoq

 〔悲報〕ハンナさん、人妻だった


 641 名前:NO NAME:15:13:15.24 ID:sadfurt

 グッズに費やしたお金かえして!(泣)


 643 名前:NO NAME:15:15:25.98 ID:dajof2r

 はぁ? 一日でどんだけ進んでんだよ。おかしいだろ


 648 名前:NO NAME:15:17:24.41 ID:haajojo

 1‐3のレス番にあるテンプレ読んどけ。あっちじゃ半年あったんだよ。それでもまだまだ足りないわ。第二次オープンβか製品版出たら次も絶対やろっと


 650 名前:NO NAME:15:18:04.21 ID:gjiafhq1

 引き継ぎあんの? 誰かあのガイドさんに聞いた?


 652 名前:NO NAME:15:18:50.14 ID:kgmkgig

 ガイドさんは俺の嫁


 655 名前:NO NAME:15:20:34.21 ID:gjiafhq1

 ガイドさんに会うためだけにまた参加するオレガイル


 658 名前:NO NAME:15:15:25.98 ID:jglbaja1

 ガイドさん情報だと次やるとしたら引き継ぎはある。ただし第二次か製品版にするか、そもそも出すかは未定。今は情報処理して検討中だろうよ


 664 名前:NO NAME:15:17:05.18 ID:gajklka

 そういえばモンスターって仲間にできるのね。ハンナさん見て初めて知ったわ。


 667 名前:NO NAME:15:18:21.45 ID:dajof2r

 けど自分のステ以上のやつ仲間にできないだろうし、そいつにばっか戦わせてたら自分が強くなんねーし微妙じゃね。ヘタしたらステ低下する悪循環だぞ


 669 名前:NO NAME:15:25:52.18 ID:jgajoaa

 ステータス上げしないで強いやつ仲間にできるのが理想だよな、その場合。帝王級も仲間にできんのかな


 672 名前:NO NAME:15:17:05.18 ID:gajklka

 となると、初期ステのまま帝王級をテイムするのが最強への近道でコスパ最高の最適解か

 理屈じゃそうだとしても……まあ無理だな


 675 名前:NO NAME:15:27:45.62 ID:jhjgdof

 帝王級とかなにそれおいしいの?


 677 名前:NO NAME:15:28:51.27 ID:aghhikh

 出会ったらただちに逃げないとアカンレベル。もうあれ、負けイベントと一緒。


 680 名前:NO NAME:15:30:24.17 ID:qjfak1m

 調子のって帝王級挑んだらうちのギルド全滅しますた(^q^)


 690 名前:NO NAME:15:33:43.89 ID:GegLda0

 ギルド全滅といえば騎士団ボロ負けしてから残りってどこいったん?


 693 名前:NO NAME:15:34:54.46 ID:4aa16+0

 騎士団事件でやられても残留したのと騎士団でも決起に不参加だったのとか集めて集団テレポしたよ。シェルター周辺はもう完全に居場所なかったし。まあそこでもやべーのにエンカウントして全員やられたけどな。あとはプレイ終了まで足並み揃わずグダグダだよ。


 712 名前:NO NAME:15:38:12.86 ID:GegLda0

 >>693

 やべーのについてくわしく


 735 名前:NO NAME:15:42:38.11 ID:4aa16+0

 >>712

 くわしくっていわれてもなぁ。とりあえず手当り次第にランダムな座標でテレポして良さげな市街地見つけたから好き勝手やってたらボスみたいなのが出てきて詰んだ。もうあそこには二度と行かねえ。




【四鹿跡永賀】

 あれから数日が経った。初めての友達を失い、その影に悩まされることも少なくなった。バスケットボールを見ると憂鬱になる以外は、いたって元通りだ。

 今までのように塞ぎこんで引きこもるのは、もう嫌だった。だから、無理をしてでも学校に通っていた。校内の雑談の話題は、〈テスタメント〉でもちきりだった。実際にプレイをした人間の周りには未プレイヤーが集まっていて、体験談で大盛りあがり。一方ではプレイヤー同士で思い出話をしたり……


 跡永賀はどちらでもなかった。語るような――語れるようなことはなかったし、語る相手もいなかったからだ。

 ハンナが自分の母親だと言ったらどうなるだろうか――何度か考えたが、結局口には出さなかった。虎の威を借る狐のようで、情けなく思えたのだ。

 あれ以来、イグザム・エンタープライズから連絡はない。もちろん、終了して数日でどうにかなると期待はしていないが、このまま自然消滅しそうで、怖い。


 初無敵は相変わらず無職だ。あれだけ儲かっていたのにと残念がる彼は、『こんな低賃金で働く社畜になるなんて負け組』と、太郎が買ってきた求人誌を資源回収に出していた。今日も、飽きもせずアニメの実況に明け暮れているだろう。


 両親も相変わらずで、ゲーセンに入り浸る母に、何が楽しいのか父は付き添って支えている。母曰く、たまに耳に入ってくるハンナの武勇伝にドキリとするらしい。父曰く、あの世界で出会った自分の工場の社員とはリアルでも仲良くやっているそうな。それにより浮気を疑われ、一波乱あったのは別の話。


 冬窓床は元のおとなしい少女に戻った。といっても、以前よりは強くなったようで、あかりに泣かされることはなくなった。あかりとデートをすると、ほぼ確実に姉同伴になる。さすがにリアルでは命がけの殴り合いはしないらしい。跡永賀はひとまず安堵した。


 あかりは『空が飛べなくなった』と嘆いていた。冬窓床と険悪なのは変わらずだが、そこに軽蔑はなくなった。どうやら、骨があるとは認めているらしい。『余計厄介になった』と唇を尖らせる彼女は、どこか面白がっている。


 そして跡永賀は――――

「なあ、アット。〈テスタメント〉って知ってるか」

 放課後にその問いを受けた跡永賀は、数瞬ほど停止した。どうしたものか。昔の自分だったら、目をそらして『知らない』とぶっきらぼうに答えただろう。


 でも、今は?

 今の自分は何がしたい? 何をするのが正しいと思う?

 あそこで学んで、ようやく気づけたこと、出来るようになったことがある。


 ……もう、昔とは違うよな。

 跡永賀は胸中で納得し、うっすらと――やがてはっきりと、笑みを浮かべた。

「知ってるよ。ていうかやった」

 すっかり懐かしく映るオタク連中にそう言うと、彼らは『おお』と声を上げる。


「バカ兄貴に付き合わされてな」

「それで、どうだった?」

「別に。そうだな、リアルではあったかな」

「それでそれで」と急かす声に、跡永賀は手で制する。

「その前に、頼みがあるんだけど」

「頼み?」「アットが?」「珍しいな」と三人は驚いた顔をする。


「見たいアニメがあるんだけど……お前らがずっと話してたやつ。前から気になっててさ。見せてくれないか。……嫌ならいいんだけど」

 跡永賀はバツが悪そうに頬を掻く。あれだけ言っておいて今更な気がするし、面と向かって口にするのは気まずかった。


 すると彼らは喜びの声をもらす。

「ついにアットがこっちの道に!」

「扉が……扉が開かれたぞ!」

「イエス! オタクライフ」

「俺はオタクじゃねえよ」

 跡永賀は呆れたような顔をする。昔の自分とは違うがそれはそれ、譲れないのである。


「それで、どうなんだ?」

「もちろんいいですとも!」

「さっそく鑑賞会をしよう!」

「家からディスク持ってくる!」

 なんだ簡単じゃないか。跡永賀は胸中でつぶやく。変な意地を張ってないで、受け入れるだけでいい。それだけで、こんなに簡単につながりができる――絆が生まれる。


「でもいったい、どういう風の吹き回しだい?」

「別に大したことじゃないさ」

 彼らと廊下を歩く跡永賀は、窓の外より先――ここではないどこかを眺める。あそこも、こんな風な空だった。どこまでも青く、どこまでも大きい空。


「いつか再会する友達に、みやげ話を――色々なことを教えてやりたいんだ」

 世界や種族を超えて出会い、培った絆。そこで得た様々なもの。せめて、自分も何かを与えられるようになろう。それがけじめというものだ。そしておそらくは、友情というものだ。


 ぷるる。

 心のどこかで、楽しげな声がした。

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