眠りから始まる鉄道の旅
曇空 鈍縒
第1話
日常を壊す種はどこにでも潜んでいる。
たまたま通った道に通り魔がいる。
たまたま入ったビルでテロが起きる。
たまたま友達になった相手にいじめられる
全て『たまたま』で人生が変わる。
これもそんなたまたまの物語である。
疲れた。
頭の中がその言葉で埋め尽くされ、他の思考を拒絶している。
正確に言うと脳がつかれて、思考することそのものを拒絶している。
成績が落ちて塾三昧。夜遅くまで勉強。寝るのは一時。復習のため起きるのは五時。
睡眠時間四時間以下。そんな生活がもう三か月も続いている。
僕は、朧な意識でいつもの時刻にいつもの電車に乗った。
こんなぼんやりとした状態で生きて駅に付けたのは奇跡だ。
ほとんどだれも乗っていない。奥の方に眠っているお爺さんが一人。うつらうつらしながら本を読んでいる学生が一人。僕。の三人だ。寝るには最強の環境。
寝たらいけない。寝たら起きられない。降りる駅、寝過ごしてしまう。そうするともう帰れなくなる。公衆電話で親に迎えに来てもらうしかない。
公衆電話が見つかればの話だが。
寝ちゃいけない。寝ちゃいけない。寝ちゃいけない。寝ちゃいけ・・・
たまりにたまった疲労が限界を迎え、僕はいつのまにか寝ていた。
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