Burle Sarla -深海の詩-(神王伝史 -GOD CHRONICLE- 外伝)

多部栄次(エージ)

序の頁 物語を紡ぎましょう

 みんなは「作り話」を信じるかな?

 そりゃあ「作り話」は人の想像で作った「物語」なんだから、もちろん信じないよね。

 他にも、民謡とかおとぎ話、童話も「作り話」だよね。

 でもね、実は「作り話」の中にも本当にあったことが描かれていたりするんだ。

 子供たちがさり気なく歌っている民謡も裏の話ではとっても怖い事実があったりするんだよね。


 ある偉人の言葉に

「人が想像したことはいつか必ず、実現する」

 というのがあるんだ。


「えー、それほんとうなの?」って思うかもしれないけど、まあ実例はあるわけで、昔は人が空を飛べるなんて有り得ないって考えられていたんだけど、今の時代で空を飛べるわけがないって言う人はいないよね? まぁ生身の人間自らが飛べるってのはまだ実現してないけど、いずれはそうなるかもね。


 逆の説を述べるなら

「実現したことは、必ず人が想像している」

 といえるね。


 だから「作り話」も実在しているんじゃないかなって思うんだ。

 あはは、極端な考えかな?

 でも、信じるのはみんな次第。

 みんなが信じるかどうかで、「作り話」は嘘にも真にもなる。


 ……その考え方はおかしいって?

 僕は神様じゃないんだ。僕の言ったこと全部が正しいって思うのが間違いだよ。


 ……真実はひとつなんだよって?

 まぁそうだろうね。運命として起きた事実はひとつしかない。

 でも、それは「神の視点」での話であって、僕らから見た世界ではいくつもの真実があるんだよ。時に真実は変色することも、分離することもあるのさ。ちょっと難しかったかな。


 話がずれちゃったね。僕はみんなに「作り話」を聞いてほしくてここにいるんだ。

 この「作り話」をみんなは信じてくれるか。それを知りたくてここにいるんだ。


 それじゃ、紙芝居で僕の「作り話」を語ろうじゃないか。こう見えて僕は絵を描くのが得意なんだ。では、はじまりはじまり。

 これは、実際に僕が体験した「おとぎ話」のようなお話。

 「世界」を教えてくれた不思議な旅人と、救いを求める男が出会った物語の一頁を、みんなに捧げよう――。

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