【貝殻の表紙の日記帳】解説

2人の幸せな鼠の日記です。


かつて彼女は舞台で声を響かせる歌姫だった。

しかし、彼女は歌うことが出来なくなった。

肉体的な問題なのか、精神的な問題なのかもわからない。

そんな彼女を、ファンとして支えていた彼が言う。


「私は君のことが好きなんだ」

「愛したのは、歌を歌う君であって、歌声ではない」


そうして彼らは結ばれた。


声ではなく、歌う彼女を正しく愛した、

間違いのない幸せな「人魚姫」。


しかし、彼らは幸せではなかった。


彼が王子ではない故の金銭的な困窮か、

彼女が歌姫を捨てきれない未練という葛藤か、

現実という塩水がじわりじわりと侵食し、着実に彼らを蝕む。


そこに、新薬の接種案内が来る。


彼らは解放された。

たとえ、今より上に行けなくったていいじゃないか。

私以外の歌が世界にはたくさんあるもの。


彼らは幸せな鼠になりました。


ちなみに、この2人は13号(トリテッラ)の両親だったりします。

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