第8話 新たな仲間は……?


 えっと……?どういう状況?事案?

「え、えとお……ボクっ……わ、わたくしゅは、あなた方の……パーティーに……」

「えっ!?もしかして私たちの仲間になってくれるの!?大歓迎だよー!よろしくー!」

「え!?そ、即決ですか……!?」

「ちょっと待ったあ!まずこの娘の話を聞こ?あなたのお名前は?」

「それが……分からないんです。お、覚えてなくて……」

 ……覚えてない?


「記憶喪失ってこと?どこから来たかとか、親はいるのかとか、何も覚えてないの?」

「は、はい。まったく……」

 うーん……ちょっと怪しい。人間の姿をした魔物……魔王軍幹部が私たちを騙そうとしている可能性もある。こんな序盤からホイホイ幹部に攻めて来られても困るけど。


「そうだ、冒険者登録の時はどうしたの?」

「名前なんて無くてもいいって……こ、これ、冒険者カードです」

 見ると、名前の所が空白になっていた。これで彼女が言っている事は事実ということになる。きっと薄情で適当な受付係に当たってしまったのだろう。


「じゃあじゃあ、私が付けてあげるよ!うーん……なんか怯えてるから……オビエ!」

「いや適当過ぎるでしょ。却下よ却下」

「……!!オビエ……オビエ……いいですね!妙にしっくりきます!」

 ……ほんまかいな。


「ほんとにいいの?もっとよく考えた方が……」

「いえ、オビエがいいです!そう呼んでください!」

「そうなの?じゃあそうするよ」

 意外に自分の意思はしっかり持ち合わせているようだ。


「じゃあ、改めてよろしくね!オビエ!」

「は、はい……!よろしくお願いします!」

「違う違う!そこはよろー!って言うの!」

「純粋な女の子をチャラくさせようとすな」

「は、はい!えっと……その…………よろー!……です!」

 ……いやクッソかわいい。クッかわだわクッかわ。


 ……こうして私たちのパーティーに新しい仲間が加わった。

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