事故事件

バブみ道日丿宮組

お題:ドイツ式の夕方 制限時間:15分

事故事件

 優雅な夕方を過ごすには、まず人を減らさなければいけない。

 一人ずつ確実に殺すのもありだが、どうせならまとめて排除しよう。

 計画はバレることはないだろう。捕まることもないだろう。不審に思われたとして、実行されるのはだいぶ後。まさか子どもが運搬役になってるとも思わないだろう。

 お金さえ払えば、子どもはなんだってする。さすがに人殺しをすることはないが、指定された場所に持ってくぐらいはやってのける。

 それだけで1万だ。

 3、4回するだけで最新のゲーム機が買える。

 いい小遣い稼ぎになる。

 お金はありあまってるし、私は困ることはない。

 優雅な夕方を過ごすために、必要なことだ。

「おばちゃん、終わったよ」

 子どもが帰ってきて、手を出してくる。

 そこにお金を置くと、飛び跳ねるほどまでに歓喜を体現した。

「これは内緒のことだからね、秘密だよ」

 わかったー。もはや人の話を聞いてない。

 家でバラされるわけにもいかないので、

「これもあげる。食べてみて」

 包装されたアメを手渡す。

 子どもは疑うこともせず、次々に口へと運んでく。

「美味しい?」

「うん♪」

 飲ませたのは毒ではない。

 発振器。

 なにかあったときに、どう始末をつけるかのアンテナだ。

 もっとも、爆弾が爆発したあとで、子どもから親に至っても消すことは確定だ。

 バレるバレないはもはや関係がない。

 最初から、そのつもりでいれば、なにも問題はない。

 あるとすれば、私がこの地区で唯一の生存者になってしまうことだろうか。

 そうなると、足の一本や、二本なくす必要があるかもしれない。

 爆発の痛みは一瞬だ。

 すぐに治療すれば、命にかかわることはないだろう。

「ふふ」

 もうすぐ夕方。

 きれいな花火が上がることだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

事故事件 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る