ホラーではありません.ハッピークリスマス.

食連星

第1話

「マミー?

プレゼントが届いたよ~.」


「あらぁ,アリスちゃん.

何でしょうねぇ.」


「パパ?」


「そんなサイズに入らないわぁ.

アリスちゃん.」


「そっかぁ.

パパが入ってたらいいのに.」


「パパを入れちゃう?」


「出来るの?」


「一部ならね.」


「じゃあ,やってみて?」


「どこからにする?」


「手を繋いでほしいから,

手にするわ.

きっと頭も撫でてくれるのよ.」


「そうなのね,

ママは…

ふふふ.

ここじゃ言えないわ.」


「届くといいわね,ママ.」

ニッコリ笑うフランス人形なような

アリスは天使の笑みを浮かべた.


パパに似てるのに,

嫌な感じじゃないわねとママは思う.


鏡よ鏡.

鏡さんと言いながら,

若い子にジェラッた

魔女ではないのよと続けざまに思う.

可愛い天使は私が守ってあげるのよ.

そう,

永遠に.


「今頃,パパはどこでしょうねぇ.」


「何~マミー?」


「あなたを食べようとしたオオカミの話ヨ.」


「オオカミさんは殺して埋めました.

お庭の土の中.」

綺麗な顔してアリスは絵本を読むように

語る.


「良く出来ました.

さすがアリスちゃん.

そうね.

残念だけど,そうなのよ.

掘り起こしちゃう?」


「オオカミさんは,いらないのよ.」


「あらあらあら,お上手に語るわね.

リトルママみたい.

可愛いお嬢さん.

そのプレゼントは何かしら.」


「開けてみるわね.」


「そうして?」


「宛名は…

パパからよ?」


「…そぉ.

それは素敵だわ.

振ってみて?

音をきかせて頂戴?」


「マミー!

特に音はしないわ.」


「グードッ.

じゃあ開けてごらんなさい?


何が入ってたぁ?」


「ぬいぐるみに指輪が

ハマってるわ.」


「そぉなの?

ぬいぐるみは新しいのを買ってあげるわ.

その子は…

可愛くないもの.」


「そ~ぉ?

マミーが言うなら…

でも,ちょっぴり可愛いかも?

パパみたい?」


尚更だめだわ.


「さぁ,アリスちゃん.

あなたはバレエに行くお時間よ.

支度をしてきて頂戴.

可愛い皆のプリマドンナ.」


「はぁい,マミー.

これ,いらないわ.」


「じゃあ,処分しておくわね.」

うん,そう.

ママも,いらないわ…


ぬいぐるみさんに恨みはないけれど…

バラバラにしましょう.

切り刻んで

中身を出して

火をつけてみましょうか.

ここまでしなかったわね.

ふふふ.


指輪はどこにいったのかと思ったけれど,

こういう事…

私の方が早くに動いてた.

残念ね,あなた.

何もかも遅かった.


指輪だけでも

一緒にしてあげましょうね.

私たちは一緒にいられなかったけれど,

寄り添う指輪は幸せなのかしら.

ねぇあなた.

もうすぐ,

愛する2人が幸せに過ごす

クリスマスが来るの.








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ホラーではありません.ハッピークリスマス. 食連星 @kakumi

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