儂、魔王だったけど転生させられて改心しないといけないらしいぞ?
@ASSARIASAKI
第1話 ええ!?儂が異世界転生!?
めでたしめでたし。
ハッピーエンド。
一件落着。
素晴らしい終わりは拍手喝采と歓声で彩られ、主人公は努力と才能のお立ち台に登りながら笑顔で手を振る。
言わずもがな、完璧。
非の打ち所がない、終幕。
一本の伝説の剣で、魔王を倒す。
王道で、いつもどうりで、完全無欠の終わり。
しかしながら、主人公によって淘汰された敗者達が悪であったのかどうかは観衆には知る由もない。
…別に?悔しくなんかないし?全然気にしてないし?
まあちょっと油断してたし?おなかも痛かった気がするし?
「はぁ、そうなんですか。」
まあ魔王だし?これから全然チャンスあるし?
「え?チャンス?いや絶対ないでしょ。」
いやいやワンチャン…ワンチャン?そういえば儂死んでるじゃん。
チャンスないじゃん。
ああそうじゃんチャンスないじゃん。
「…そろそろ負け惜しみは良いですか?魔王…いや、魔王の魂さん?」
…はい。
勇者にやられた儂は今、死して女神の前にいるのだった。
正直に話そう。この女神は美しい。うん。
整った顔立ちに長い髪。
白いワンピースを子供っぽく感じさせない着こなしは、神々しくすらある。
ただ儂も魔王。誇りがある。
素直にこんなやつの話なんか聞くはずが、
「いいですか?生きとし生けるものは、死後は基本的に次の転生を待つことになります。」
ほうほう、なるほど。
「ですが、まれに例外があります。それがあなたのような悪い奴代表みたいなやつです」
魔王ね。悪い奴代表って安っぽいから、魔王って呼んでね。
「悪い奴代表みたいなやつの魂をそのまま次の肉体に再利用するとどうなるか…ハイそこの悪い奴代表!」
はい!悪い奴ができる!
「正解!…その通りです。また悪い奴ができます。これではよい世界が作れません。」
やったぁ!いえーいってぇ!痛い!たたかないで!
「そこで我々は考えました。その魂が改心すればいいじゃない。と。」
ええ?じゃあ儂改心しないといけないの?いやぁ。絶対無理でしょ。
「いや別に改心しなくてもこちらに逆らわなくなってもらえれば、もちろんそれくらい考え済みです。だからあなたには、
人に転生して、世界の素晴らしさを再認識してもらおうと思います。」
なんだってえええええええ!
…いやいや、儂がそれで改心するとは思えん「はい行ってらっしゃい」ぞ?…おお?おおお?おおおおおおああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!
儂は、転生した。
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