#05 コンバット・エスコート
演習場から出る際、B級クラスから恐怖の視線を感じたがフィリスは気にする素振りを見せずに大人しくなった2人を連れて食堂に向かった。
食堂に入る前の廊下で話し込んでいた女生徒達が突然、話を辞めて3人の足音が聞こえてくる角を見た。
「――ボスは、大食い?」
「フィリス様は大食いですか?」
「いや、あまり食べない方だよ。2人は?」
角を曲がって最初に見え始めたリリアを見た女生徒達は声にならない叫び声をあげて、食堂内に逃げて行った。
「ん・・・エルネア」
「ああ、やっぱり・・・」
2人の反応からして何かを感じた俺は、正体が分からないまま扉を開けようとノブに手をかけたのだが開かない。
「ボス、私達のせい」
「うちら、食堂に行くと出禁になっているンだよねー」
「じゃあ、俺なりの開け方でいいンだよね?」
「「え?」」
フィリスが3メートル程の扉に30センチ程の正方形の箱を取り付けると、爆風と同時に吹き飛び粉々になった。
「と、扉が・・・」
「嘘でしょ・・・?」
「ボスは、無慈悲・・・」
「うわぁ・・・」
食堂内が唖然としているのにもかかわらずにフィリスは、何事もないかのように通路を進み空いていた席に腰を下ろした。
****************
食事を終えると学院長室に向かった。何をしに行くのかというと、
学院長室というタグが付いたドアを3回ノックすると、中から「どうぞ」と短く返答が来たので「フィリス・ディラスリナです」と名前だけを述べた。
「――失礼します」
入る際に2人には見張りを言っておいた。
「試験以来だね、フィリス・ディラスリナ君」
「そうですね。まさか、あの時の試験官が学院長だとは・・・想定外ですよ」
「それで?本題に移ろうか」
「分かっていましたか・・・やれやれ」
「ふふふ、うちの事をあまり甘く見ないでくださいね?」
「なるほどね、でも・・・理由を聞かないと許可は出せないわよ?」
「演習場で使っている銃種だけでは、万が一の時に対応できる手数が少ない事とフィリス・ディラスリナを筆頭としたリリアとエルネアの3人で構成する自警団用の装備開発のためだ」
「ジケイダンかぁ、なるほどねー。でも、この学院にはもう間に合っているわよ」
「ただの自警団じゃないですよ、
「プッ・・・、ハハハ‼面白そうな名称ですわ!良いでしょう、許可しますよ。ただし、顧問にはうちが就きますからね?」
「構いませんよ、学院長」
吹っ切れた学院長は部活認定書類を机から取り出して、顧問担当者欄にディラスティナ・ベーレルという自分のサインを書いて判子を押した。
「じゃあ、放課後の演習場も込みで地下の大教室の使用を認めます。リーダーはフィリス・ディラスリナ君です」
「必ず、この世界に轟かせますよ。俺達の名を」
軽く1礼をして部屋から出ると2人と合流して、自分達のクラスに戻って行った。
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