五、少女を救出
俺は少女に声を掛けた。見た目は俺より少し下くらいに見える。長い銀色の髪に白い目で整った顔立ち、それに透き通るような白い肌を持つ少女はかなり美人に見える。それに人とは違う長い耳。それを見て少女がエルフであることが分かった。
「あ、あなたは一体?」
ゴブリンの攻撃を受け止める俺を見て、不思議そうな顔をする少女。
「俺はマイル=マイヤー、君を助けに来た冒険者だよ」
俺の言葉を聞いて、少女の顔に笑顔が戻る。俺は、少女の事を知ろうと鑑定の魔眼を使い、ステータスを見てみることに、
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アリス=マーベリック 13歳 エルフ族 LV3
スキル:風魔法 熟練度2 水魔法 熟練度2 回復魔法 熟練度1 麻痺耐性 熟練度1
魔力強化 熟練度1 長寿
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エルフ族らしいスキル構成をしている。ただ、まだ十三歳ということもあり冒険者としては一年経つか経たないかくらいだろう。レベルもそこまで高くなく、スキルの熟練度も全体的に低い。この数のゴブリンを相手に苦戦するのも頷ける。
「マ、マイル様、この数のゴブリンを相手に一人では無理です。私の事は気にされずに逃げてください。じゃないとマイル様が!」
「助けて欲しかったんじゃないのか?」
「ですが」
「心配するな。こう見えて俺はかなり強いんだからな」
俺は、攻撃を受け止めているゴブリンの腹に蹴りを加えて、後方へと吹き飛ばす。吹き飛んだゴブリンは、後ろに居た他のゴブリンにぶつかり、一緒に後方へと吹き飛んでしまう。
だが、さほどのダメージでもないため、すぐに起き上がり敵を少女、アリスから俺へと切り替える。
「計画通り」
ゴブリンに知能はない。ただ、モンスターであるため自分達に敵対する者に対して敵意を向けてくる。本能に従った行動と言える。
普通に戦っても問題なくゴブリン達を倒すこと自体は出来るが、もし一匹でも取り逃がすようなことがあればアリスが危ない。そのために、ゴブリン達の意識を全て俺に向けさせて俺を攻撃してくるように仕向けたのである。
「今度はこれを試してみるか」
俺はゴブリン達に向かってある魔法を発動した。
「ファイアーボール」
火の初級魔法であるファイアーボールを発動する。その数は五。その全ての照準をそれぞれのゴブリンへと当たるように定める。この一撃でレベルの低い四体のゴブリンを倒すことは出来るだろうが、レベルの高い一体はギリギリ生き残るだろう。倒せたらラッキーと言ったところか。
俺はゴブリンに向かってファイアーボールを放った。その全てが狙い通り命中、四体のゴブリンはそれにより倒せたが、レベルの高い一体は、予想通りギリギリの所で生き残ったようだ。
「こいつレベルが高いだけでなく、身体強化のスキルで防御力を上げやがった。少し頭を使えるのか」
ゴブリンとしては珍しいが、スキルを持つ特別な個体であると考えるそれくらいは出来ても不思議では無い。
「少し面白いな。でもこの魔法は耐え切れないだろう」
今度は先ほどと同じファイアーボールを発動、ただし込める魔力の量を増やして威力を上げている。スキル、魔力操作を持っていることで可能となる技術である。
「ギギギ」
先ほどと同じ魔法と思い、気持ち悪い笑みを浮かべるゴブリン。確かにファイアーボールの大きさは先ほどと同じだが、込められている魔力量は約二倍、それだけ威力も底上げされている。
「終わりだよ」
俺はファイアーボールをゴブリンへと放つ。
「ギー!」
ファイアーボールが命中した時、小さな悲鳴を上げるゴブリンは、そのまま息絶えた。これで五体のゴブリンの討伐完了。俺は証拠部位となるゴブリンの耳をはぎ取り回収。
「後は少女に話を聞くだけだな」
アリスの元へと向かった。ゴブリンと俺の戦闘を目を逸らさずに見ていた少女。
「ゴブリンは全て倒したから安心して」
近づいて声を掛けると、
「凄いです。あのような戦闘初めて見ました」
俺を見てかなり驚いているようであった。
「マイル様は一体何者なのですか?」
「俺はただのソロの冒険者だよ」
「ソロの冒険者様ですか? でも先ほどの戦闘を見る限りかなり有名な冒険者様のように思います」
「そうでもないさ。確かにAランクではあるけど、この三年まともにモンスターとの戦闘を行っていないしね。それに、俺より強い人なんてこの世界に五万といるさ」
「そんなことないと思います。マイル様ほどの人、私は見たことがありません」
お世辞にしても少し言い過ぎな気がする。
「ありがとうね。それで君はどうしてこんなところに居たんだい?」
「え~と、それは、私も冒険者をしていて、薬草採取の依頼でこの森にやって来たのですが、なかなか見つからず少し奥の方までやって来た時、あのゴブリン達に襲われてしまったのです」
「ミールの町の冒険者だったか。そういえば名前を聞いていなかったね」
「私はアリス=マーベリック、十三歳です。つい一か月前に冒険者になったばかりの駆け出しのFランク冒険者です」
Fランク、冒険者になって一か月ならそれくらいが普通か。
「このことは聞いていいことか分からないけど、どうしてエルフの君がこの人族の国にいるのかな?」
何処で冒険者をやろうとその人の自由だ。それに、もしかするとどうにもならない、止むに止まれる理由があるのかもしれない。
「それは……」
「もし話しにくいことがあったら無理に話さなくてもいいよ。他の人には話せないこともあるかもしれないし」
「すみません」
凄く申し訳なさそうに頭を下げるアリス。
「とりあえず薬草を採取して森を出ようか」
「はい」
この後、アリスの受けていた依頼の薬草を五本、採取して町へと戻るのであった。
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