第5話 私達付き合ってるよね?
「ただいまー」部活から家に帰ると、玄関に転がるように、倒れ込む。
4月に入学し、日中に初めてやる英語や、全く興味のない日本の昔話しを聞く歴史などの勉強に疲れ、放課後は、ほとんど走り込みのバスケ部とで、自分のエネルギーを全て使い果たす生活となったため、ようやく家に帰ってきたときは、バタンキューなのである。
母ちゃんは夕方まで勤務、足して残業もやっているので、オレが帰ってくる少し前くらいに帰宅するので、そこから、ご飯の支度やら洗濯などで、母ちゃんも疲れながらバタバタ夜の家事を行っている。
なので、ご飯を作る時間を省くために、外で何かを買ってくることが多い。今日のおかずはロッテリアのフィッシュフライだ。
普通、ロッテリアなどのファーストフードは昼などに出先で食べるほうが多いものだが、我が家は夜ご飯のおかずとして、利用していた。
申し訳ないが母ちゃんの作る料理がオレは好きではなかったので、はっきり言って自由が丘のお手伝いさんをやっていたなんて信じられないほどマズかった。
今日はロッテリア!と聞くと、むしろ大喜びだった。
そしてご飯を食べ終わったら風呂に行く。ウチは家にお風呂が無いので銭湯通いだ。
ザ•ベストテンが始まる前に風呂行こう、手早くオケに、バスタオル、着替えを用意して、出掛ける。
「今日おじさん居ないといいな。」
銭湯でよく会う背中に入れ墨を入れたおじさんがいて、よく会ううちに、相手はオレのこと、「おにいちゃん!」と勝手に呼ぶようになり、会うと「背中洗ってくれ」とわがままを言うようになり、一回洗ってあげたら、会うたんびに頼まれるようになった。
今日はザ•ベストテンを見たいので、早く帰りたいのである。おじさんを相手してる時間がない。
運良くおじさんはいなかった。手早く洗って出た。
ザ•ベストテンは間に合った。無事聖子ちゃんを見終わったら、美佐へ電話をする。
毎日夜に美佐へ電話をするのが日課だ。
「もしもし藤堂ですけど美佐さんいますか?」出た妹らしき子に話す。
美佐「もしもしー」
雅也「あ、もしもしー」
美佐「お風呂行った?」
雅也「うん、行った。美佐は入った?」
美佐「まだ。お姉ちゃん先入るっていうからー」
雅也「そっか。今日部活疲れた?」
美佐「疲れたー。レシーブ10本連続返しやって、なかなか終わらなくてー」
雅也「きつそー。」
美佐「雅也くんは?」
雅也「ポストの動きがぜんぜんわかんねー。村田(先生)が、そっちじゃねぇとか言 って怒鳴るんだけど、わからないんだよね。」
と、だいたいこんな部活の話しをメインで話すのだが、この後から詰まる。
勉強の話しとか、先生、友達の話しが加わるが、すぐ途絶えてしまう。
雅也「もしもしー」
美佐「もしもしー」
雅也「眠いー?」
美佐「ううん、大丈夫ー」
こんなやり取りを数十回繰り返す。
美佐「ねぇー?」
雅也「うん?」
美佐「•••」
雅也「どした?」
美佐「ねぇねぇ?」
雅也「うん?なあに?」
美佐「雅也くん•••」
雅也「何かあったの?」
美佐「ねぇねぇ•••」
雅也「ん?言ってみて?」
美佐「雅也くん••
私達付き合ってるよね?」
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