34、お前も消えろ
村人のゾンビに囲まれた俺とレイラ。
俺のせいで死んでしまった罪のない人々。
「さあ、元村人を攻撃できるかい?」
「うるさい黙れ」
「ぴぎゃ!」
顔を押さえて転げ回る魔族ボルディア。
「お前を狙えば良いだけだ」
遠くても狙撃してやる。
「くぅ‥‥‥これ以上喰らうと本当にやばい。おい、僕を守れ!」
元村人たちは魔族ボルディアの前に並んだ。
「僕は死者を使えるんだ。これで攻撃出来ないだろ? さあ喰らえ!」
魔族ボルディアの手から雷のような閃光が走る、レイラに向けて。
──こいつめ!
「‥‥‥痛いな。ムカつく。凄くムカつく!」
レイラを庇って背中に受けた。
「やっぱり君を直接狙うより、この方が効率が良い」
どうする。
状況はあまり良くない。
‥‥‥死んでるとは言え、元村人を攻撃するのか?
子供や老人までいるんだぞ。
「ニア様、私も攻撃して良いですか?」
「誰を?」
「ゾンビです!」
そう言うとレイラは近くにいた元村人を斬りつけた。
人となんら変わらない声で断末魔を上げ、ゴールドを残し消滅する元村人。
「‥‥‥ニア様、私なら殺して欲しいと願います、きっと」
目に涙を溜め、剣を持つ手は震えていた。
「本当に?」
「絶対に!」
珍しくハッキリと意見された。
「‥‥‥わかった。後で墓を作ってあげようか」
「もちろん私も一緒に作ります!」
俺は大量の石を両の手で持った。
「‥‥‥攻撃する気かい?」
ゾンビの後ろから声が聞こえる。
「ボルディア、お前は絶対に許さないからな」
「君のせいで死んだ、かわいそうな村人だぞ。また殺すのかい?」
うるさい、黙れ。
「それでも女神に選ばれた勇者パーティーか!」
「うるさい、お前も消えろ!」
ありったけの力を込めた。
元村人を何度も攻撃したくない。
一撃で決める。
「ひぃ!」
「メテオ!」
魔族ボルディアは大量のゴールドを残して消滅した。
村人ゾンビと共に。
「私、早く強くなりたいです」
「俺も」
村の真ん中に大きな穴を掘る俺とレイラ。
死体はないので、家から集めた服やアクセサリーなどを遺品として埋める予定。
「魔王は許せません」
「俺も」
夕暮れの誰もいなくなった寂れた村。
異世界から来た俺たちは、この世界を救う決意を固めていた。
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