26、おかわり如何ですか?



 状況を確認しよう。

 やばい魔族に絡まれた。

 魔法が凄く痛い。

 以上。

 


【ニア】

レベル125

力341

素早さ308

身の守り299

かしこさ362

魅力323

HP 495 / 587

MP302


 

 ステータスを確認する。

 うん、あの魔法は92のダメージ。

 後6発打たれたら死ねます。


「覚悟しやがれ!」



 ──やばい、またあの魔法!



「熱い熱い! 服が燃えるじゃないか!」


「なんでだ、なんで死なねえ! 2発もくらって立ってる魔族だってそういねえ。テメェはいったい何なんだ!」


 最強魔法とか言ってたな、これ以上強い魔法はないのかな。


「そんな火の魔法痛くも痒くもない! お前はそれしか魔法がないのか?」


「くそ! ムカつくぜ、人間の分際で!」


 ハッタリです。

 次はもっと弱い魔法でお願いします。


「次は俺の魔法を見せてやる!」


「魔法も使えるのかよ!」


 ストーンインパクトは改良され、さらに強化された。

 5メートルだった岩は俺の力が上がることにより、20メートル級に。


「‥‥‥おい、何やってんだテメェ? 何だそのアホみたいにでかい岩は!」


「くらえ、メガトンインパクト!」


「それは魔法じゃねえだろうがっ!」


 跳躍して魔族の男に向かって叩きつける。


「こなくそっ!!」


 両腕を広げて、メガトンインパクトを受け止める魔族の男。

 やばい、この人変態だ!


「ぐわっ!」


 あ、足がふらついてる。

 効いてないわけじゃない。

 よし、追加だ!


「テメェ、何また攻撃しようとしてやがる! 次は俺の攻撃だろうが!」


 メガトンインパクトに押し潰されそうになりながら、魔族の男が叫ぶ。


「うるさい、俺は基本2回攻撃だってさっき言っただろ! くらえ、メガトンインパクトおかわり!」


 魔族の男が抱える大岩の上に、メガトンインパクトをもう1発叩きつけた。


「クソ野郎‥‥‥がぁ!」


 ドッパァァァァン!


 2個の大きな岩の重みで潰されながら、魔族の男の罵声が聞こえた。

 どうだ、倒したか?

 

 ‥‥‥‥‥‥。


 動きなし。



「手強い相手だった」


 決め台詞のつもりです。


「まだ死んでねえ」


「‥‥‥しつこい」


 岩をゴロリと転がし下から出てくる魔族の男。

 服はよりいっそうボロボロ。

 俺の服もボロボロなんだけど。


「テメェ名前は?」


「教えない」


「やっぱムカつく! 今日はもう勇者抹殺はやめだ。なんかもう疲れたから帰る。次会ったら覚えてやがれ」


 なんだと!

 お帰りになるそうです!


「俺はヴィラル。テメェは?」


「ニアだ」


 魔族の男は、ふっと笑うと飛び去った。

 羽が片方折れているのでフラフラと。





「危なかった」


 魔族の男ヴィラルが見えなくなったのを確認してから、俺は地面に転がった。


「サトシ凄いではないか!」


 女神様どこにいたの?


「どこがですか、自信なくなりましたよ」


 多分あのまま戦ってたら負けてた。

 魔王でもない、ただの魔族相手にだ。


「あの魔族ヴィラルと言ったろ? 名前を聞いて思い出した。魔王軍最強の戦士じゃ、奴と互角に戦うとは凄いぞ!」


 互角なもんか。

 しかも魔王軍最強って言っても魔王じゃない。

 今の俺では魔王に絶対勝てない。

 



 もっと強くなろう。

 

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