7、石の希少性



 『魔王の元気』は6ゴールド。

 あと道具を入れる袋を10ゴールドで、ファンシーな雑貨屋さんで購入。

 この道具専用の袋なのだがかなり便利。

 財布と一緒でいくらでも道具が入ります。

 完全にドラ○もんの四次元ポケットです。

 この世界は便利な物が多い。


「後はどーする?」


 キツめの顔に似合わず、ぬいぐるみが趣味のアリスさん。


「今日も宿屋に宿泊しても大丈夫ですか?」


「いくらでもどーぞ」


 明日からまたレベル上げ&お金稼ぎです。

 この世界のことが少しわかった、有意義な異世界2日目だった。


「アリスちゃん、俺の誘いは断るのにそんな若い奴とデートか?」


「あんたしつこいね。街のごろつきと遊ぶ気はないよ」


「アリスちゃんそんな冷たい事言うなよ。一回だけ! 一回だけ付き合ってくれたら俺の良さもわかるって!」


「ガーラン、しつこいよ!」


「優しくしてりゃつけあがりやがって! このガーラン様に逆らうんじゃねえ!」


「あーれーー!」


 ‥‥‥はい、異世界2日目はまだ終わらないようです。





「なんだ優男、俺様とやろうってのか? 俺はお前みたいなヒョロヒョロの男が大嫌いなんだ! 邪魔するなら容赦しねえ!」


 ガーランと呼ばれる、筋肉ムッキムッキの背の高いごろつき男。

 なんとなくぬいぐるみ大好きアリスさんの前に出てしまった。


「あんた早く逃げな! 私は大丈夫だから」


 ぬいぐるみを愛するアリスさん。


「いちゃいちゃすんじゃねー!」


 石‥‥‥石は何処だ?

 話を聞き流しながら最強の武器を探したが、舗装された街の道には石は落ちてない。

 一つ賢くなりました。


「ラブリーうさちゃんを強く抱きしめるアリスさん、石持ってない?」


「‥‥‥石はないね。あと宿屋に戻ったら覚えてなさいよ」


 怒られた。

 使いたくない手段だったが、仕方ない。


「ガーランとやら、俺に喧嘩を売ったこと後悔するがよい」


 迫り来るガーラン。

 俺は財布から取り出した1ゴールド硬貨をおもいっきり投げつけた。


「えい!」


 ドグシュ!


 眉間にクリーンヒット。

 変な音がしてガーランは崩れ落ちた。

 

「やば、死んだ?」


 人を殺してしまいました。


「大丈夫、生きてるよ」


 良かった。


「スライムって強かったんですね」


「‥‥‥何を言ってるかわからないけど、あんた強いのね」


 筋肉ムキムキのガーランはスライム以下でした。

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