第15話 解決と決断
トラブル時に、上の人を呼んでもらうという対処には一理も二理もある。間に人を挟むほど、真意が伝わり難くなる上に、決裁権のある人でなければ、ではこうしようと決められないのだから、下の人ほど、自分で何とか収めねばと、お客と会社の間に入って中途半端な対応をしてしまうのです。
上の人を出してと忌憚なく言えて、どんなに上の人が出てきても動じず同じ態度で話せる夫がいてよかった。直接、決裁権のあるもっともっと上の方に直接訴え、その方にも、実際の資料なども精査してもらった。その結果、今回の進め方は、ハウスメーカー側に非があったことが認められ、こちらが無茶な要求をしていないことを解ってもらえた。
ハウスメーカーからは、問題発覚の発端となった見積と発注のズレの200万ほどに関しては我々に払う責任はないと言われ、打合せで決定していたのに発注が漏れていた部分に関しては、料金の請求なく付け足してくれるという。簡単に言うと「全部言う通りにするから建築を続けさせてーお願いー」といった感じだろうか。
こんなことになるまで、担当1人の不十分な進め方のまま据付の発注まで出せてしまう会社のシステムも問題あるんじゃないかと思うが…どうも、会社側は、我々に事実の全ては説明してないと思われる。会社的にはおそらく言っちゃダメな割引率のマジックなどについて顧客に口走っているご乱心のMさんを、あの夜から全く我々には会わせない。問題の本質はスッキリとは見えず、ここに書く真相も、予想や憶測を織り交ぜてのものになっている。きっとMさんの不手際だけでは済まない何かがあるのかもしれない。
なんだか信用ならない部分を残しつつ、弁護士をたてて闘う労力、また次の土地を探し家を建てる労力を考えたら、続けるほうで落とし所を見つけられるのがよいのだろうというのは、途中から思っていた。
そもそも、我々は、ハウスメーカーに無茶をいうつもりもない。しっかり考えて自分達が納得した部分にはちゃんとお金を払って「自分の家」を建てたいのです。でも希望に反してもう変えられないところが多々ある。それをお願いされて建てても全く嬉しくない。これから何十年も暮らしていく家に何か嫌な記憶を残して建ててしまったら、住んでいてちょいちょい嫌なことを思い出すに違いない。そんなのは嫌だ。
話し合った結果、なんとか建築を進めていくことに決めた日、家に帰って自問自答するナマケモノ。本当にこれでいいのか。後悔しないのか。見落としていることはないか。
どんなに考えても、どうしても、半分騙されたような気持ちをスッキリと解決できない。結果、こんなモヤモヤしたまま家建てるなんてやはりこれから色々頑張れないなぁと思ったのです。
どう気持ちを切り替えたら、家を建てよう!とまた思えるようになるだろう。
ナマケモノは一晩考えた。一晩だけ?と思うかもしれませんが、とにかく時間に追われていて、日々刻々無駄にはできない状況だった。
でも今後もう後悔のため息を吐きたくない。
そうしてその夜、今の精一杯、目一杯で考え、後で後悔しない覚悟のための3つの条件を絞り出した。
工期スケジュールはずれ込まないこと、細部まで全ての部分をもう一度確認しなおすこと、上限金額を当初の我が家の希望予算にすること。
この3つを飲んでもらえるなら、もう一度意欲を持ち直して自分の家を建てる!と決めた。ダメならもうやめる!とも。
いつものごとく夫を通してハウスメーカーに伝えると、その条件を全て飲んでくれるとのこと。
あれ?思いのほかすんなり、というか、速攻で答えが返ってきた。もっと攻めても大丈夫だった?とも一瞬思ったが、駆け引きなんて我が家らしくない。自分が今後後悔しないための決断として、ここで区切りをつけることとした。
ナマケモノ、覚悟を決めて「家を建てる」ことを再開する。
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