第7話 近道ジェットコースター
動き出したナマケモノ。決めたら最短ルートでいきたいのもナマケモノゆえの習性。
なんとなくしていた情報収集を、本気を出して始める。とはいえ、ナマケモノは決断力はあっても行動力がない。勘で動くのに動きが遅いという…。決めても、よし今行こう!とならないわたし。対照的に夫は、計画や段取りよりは直感と即行動で、初めての人に会うのも何か聞くのも全然平気。羨ましい限りですが、羨んでる場合ではなく、その力とナマケモノの最短ルートいきたい力を合わせて家族の将来をつかむのだ。
核家族で、まだ子供も一人でお留守番は無理な年となると、旦那は足が悪いのもあり、動く時は一家全員で行動なのです。
難しいお年頃女子になりつつある小学校低学年の娘も、幸い比較的大人しく、体も丈夫で我慢もできるので、家騒動に振り回されて連れ回されても騒がすジャマもせず体調も崩さず、こちらが困ることはなかった。感謝と申し訳なさと、未だ頭からかぶりつきたい可愛さで、また愛おしむ。
毎週末に、土地を探しながら、ハウスメーカー回りをする。
少し郊外の土地で目星を付けたのは隣の市。
生活用品のお店が少なく生活は多少不便だけど、市街まですぐ出られる。首都圏からのアクセスも良く、都会人の田舎暮らし移住もチラホラ、有名レストランやワイナリーには関東からのお客さんも来るとのこと。
よし、この辺りで土地を探す&生活した感じはどうなのかを知る、そのためにはまず隣の市に賃貸で住んでみよう!
ここの発想が突飛だと、わたしの親は眉をひそめておりましたが、我々は家族みんなが納得すればいいんじゃないかとの考えで進むのです。
昔からの友達に、わたしは、基本のんびりのんびり過ごしてると思うと、突然、急展開な報告を受けて驚くと言われる。ジェットコースターみたいだと。
まず小学生の子供に、転校はいかが?と尋ねてみる。「今の小学校がいいけど、新しいお家には住みたいし、どっちでもいいよ」と娘。あぁ聞き分けが良すぎて心配になりつつ、ありがとう!
そうと決まったら、早めがいい。
お隣の市で賃貸のアパートとわたしの仕事を見つけて、数ヶ月で引っ越した。
自然がたっぷりで眺めが良く、以前の住まいから車で30分程なのに、急に長閑な空気が広がる。空が広い。
良い土地がみつかるかしら、住み心地はどうかしらと、期待を膨らませて、転入手続きのため市役所に行った。市での生活について、土地探しについてなど相談をしてみると、とても親切に教えてくれた。しかも、お店をやりたいとの話もすると、それに関しての情報が得られそうな組織を紹介してくれた。移住者ウェルカムな市政の雰囲気を感じる。
しかし、やはり、住んで暮らしてみるものですね。市政がいくらウェルカムでも、そこに生まれ暮らす市民のひとりひとりが、感情的にも、行動的にも、よそ者ウェルカムではないのです。
アパートを探す時にも、ある不動産屋さんは、アパート探しはとっても親切だけど、今後の移住や土地、お店の話をすると、なんでこんなところに?という感じ。もうひとつの不動産屋さんは、とても一生懸命で親切で、土地のことも頑張ってくれそうだったが、不動産業を始めたのが最近で、この辺りだと、やはり昔からのツテがないとなかなかいい土地を見つけられないとのこと。
週末ごとになんどもここを訪れていたけれど、「住んでみる」の第一歩で、外からの景色と少し違う景色が見えてきた。
でも、この、中からの景色を見るため感じるために、ここにやってきたのだから、しっかりと目を見開いて生活しなきゃと思うナマケモノでした。
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