21「神戸へ」
💭 🔁 ❤×?302
結局この日も、休校になった。
校門の前には、Twittooから1日遅れで騒ぎを聞きつけたのであろうマスコミが群がっていて、一斉に下校しようとする生徒たちと押し合いへし合い、昔見た映画の
僕は星狩さんと一緒に、そんな光景を教室の窓から見下ろしている。
それにしても、的場くん、相曽さん、出目さん、馬肉さん……と立て続けに死者が出ているのに修学旅行を強行するとか、古井戸先生と言い学校と言い、どいつもこいつも狂った奴らばかりだな。
まぁ僕としては旅先で
そうだ。修学旅行が決行される事を、頼々子さんに伝えておこう。
💭 🔁 ❤×?318
早朝2時40分に、スマホのアラーム音で目を覚ました。昨日の朝の仮説を確かめる為だ。仮説が正しければ、2時45分に『いいね❤ × 57分 = 余命』から『56分』に変わるはず。
僕は左目が隠れている事を確認し、Twittooを開く。『favo_min』アカウントを開くと――
「えっ!?」
既に、『いいね❤ × 56分 = 余命』になっている!
どう言う事だろう……1時間ずつ前倒しされているのではない? それとも、法則性なんて無いという事なのだろうか。分からない……。
考えても分からないのなら、仕方が無い。……二度寝しよう。
💭 🔁 ❤×?322
翌朝、出発前に体育館に集められ、馬肉さんと馬子の死が告げられた。
――そうか、馬子は死んだのか。
鼻と脳は繋がっている。恐らく馬肉さんのペンの突きによって馬子の脳が圧迫されて絡み付き、古井戸先生が不用意にペンを引き抜いたときに、脳から一緒に脳だか何だかが引きずり出されたんだろう……ミイラ職人が脳を引きずり出すみたいに。
しかしそうなると、殺人犯になるくらいなら、馬肉さんは死んで正解だったのかもしれない――――……
今、僕、何て考えた!? 死んで正解?
何だかどんどん、同級生の死を当然の物として受け止めるようになってきている。
何度目かの、黙祷。
的場くんの時こそ、女子たちのすすり泣きなんかも聞こえていたものだったけど、今日はもう、クラスも学年も淡々としている。慣れたのか、相手が馬子だからか、それとも修学旅行の方に意識が行っているのか。
Twittooで馬子のアカウントを確認するも、例の1分間動画は上がっていなかった。
つまり馬子の死は『呪い』とは無関係、という事なのだろうか。
『呪い』が原因ではない場合は動画がUPされないとか、妙なほどルールに厳格というか、システマチックなものだと思う。
それから朝の商店街をぞろぞろ歩いてJR駒込駅へ至り、JR東京駅へ。そこから新幹線で、修学旅行先である神戸――僕の生まれ故郷に向かう。
💭 🔁 ❤×?322
【映えの権化】蝿塚「映える!? 映えるかなぁ!?」右手の5本指全てをギブスに包んだ蝿塚さんが、車窓から写真を撮ってはしゃいでいる。口調とは裏腹に、顔面蒼白で目の下の隈が凄い。『痛み止めが無いと死にそう』とか言っていた。
ちなみに、
『インスタ女子組』は空元気で騒いでいる感じ。
『サブカル女子組』と『サブカル男子組』は、ともにお通夜状態だ。
ただ、『サブカル女子組』は時折、殺意の籠った目で【セミプロダンサー】舞姫さんを睨んでいる。
八坂さんは身バレさせられてしまったし、馬肉さんの身バレと自殺も、間接的には舞姫さんの所為だしね……。
と言うか、堂々と出て来る舞姫さんもどういう神経をしているんだろう?
『陽キャ男子組』は、【紅一点】
そんな有様の2年4組だったけれど、富士山が見えてきた時ばかりは、いいねに余裕の無い組の連中が、スマホを構えて窓際に殺到した。
新幹線に揺られる事数時間。
12時半に、JR新神戸駅に入った。
帰って来たんだ、神戸に。
💭 🔁 ❤×?323
JR新神戸駅からJR三ノ宮駅へ。
てっきりORIENTARL HOTELに泊れるものかと期待したんだけど、連れて来られたのは名も知らない旅館だった。
そこで昼食を頂き、荷物を置いて観光に出掛ける。
古井戸先生は生徒たちの自主性を重んじるという――放置とも言う――素晴らしいお考えの持ち主なので、班割りでは当然、僕と星狩さんはハブられた。
けど、これは願ったり叶ったりだ。だって星狩さんと2人っきりで、で、で、デートだよ!?
――そうして、今。
僕は星狩さんと一緒に、神戸北野の異人館街を歩いている。
「星狩さん、大道芸やっとるで」
指差す先、風見鶏の館の正面広場で、ピエロがジャグリングをしている。
『すごいすごいすごい!(ू•ω•ू❁)३৸३৸ ♬』
星狩さんが、ぴょんぴょんと跳ねている。あぁ、可愛い。やっぱり君は最高だ。
星狩さんは、始終楽しそうにしてくれている。
「風見鶏の館、入ってみよか」
と提案すると、満面の笑みで頷いてくれた。
中を見学するには入場券が必要になる。受付で2名分を支払おうとすると、受付のお姉さんが1名分を返してきた。サービス? 学割の代わりか、それとも、か、か、カップル割引とか?
明治時代に建てられたという館は、古めかしくもおしゃれな内装をしていたけれど、僕は隣の星狩さんを眺めるのに忙しくて、悠長に見学などしている場合では無い。
星狩さんはすっかりテンションが上がってしまっていて、今なんて陽の光が降り注ぐテラスで、クルクルとダンスを踊っている。可愛い。天使だ。間違い無い。
2人で神戸に来られて、本当に良かった。
「このあと、どうする? 南京町に行って買い食いする?」
時刻は15時。丁度小腹が空いてきた頃だ。
星狩さんは少し悩んで見せてから、首を振る。
「ぼ、僕が奢るから!」
再び首を振る星狩さん。
『ありがとう。でも、お腹空いてなくて』
「そ、そっか」
なら、これ以上押すのは悪手だな。
「じゃあ次、何処行きたい?」
『物部君の行きたいところに付いて行くよ! (๑•̀ㅂ•́)و✧グッ』
可愛い。
「えっと、じゃあ……星狩さんにとっては面白く無いかもしれんけど、行っておきたい場所があって」
星狩さんが、笑顔で首を傾げて見せる。
「お墓参り――――……いや、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます