シーン 6-2

又、自転車は進む。ゆっくりなので安心した。大きな道を二回ほど渡り、大きな長い橋も渡ったと思う。時々、すずりチャンは自転車を降りて押して歩いた。意外と慎重だったので助かった。


 着いたのは、大きな樹が何本も並んでいて、その向こうには、すごく白っぽく何にもないようなところが広がって見えた。自転車を置いて、すずりチャンは俺を網のまま抱き上げて、その並んだ樹の間を歩き出した。中はひんやりして涼しい風が通っていた。かけるは先に走って抜けていった。


 樹の間を抜けると、白い砂がひろがっていた。その先にあるのは・・・これが海というものなのか、初めてだ。とてつもなく、大きくたくさんの水が押し寄せてくるようだ。なんだこれは、エェー、怖気づいてしまった。

 樹の間を抜けると、俺をおろして袋から出し、背負っていたリュックから紐みたいのを取り出して、俺の首に縛りつけ、反対側をすずりチャンは自分の腰に巻き付けた。「よしっ、いくぞ」とそのまま歩き出した、砂と海に向かって。またぁーと思っていたとたんに引っ張られて、俺も砂に足を入れてしまった。なんとなく熱い。すずりチャンとは少し距離があるが、嫌々ながら引きづられるようについて行った。


 朝とは変わって、時おり陽が陰ってきている。歩くにつれ、色んなものが落ちていて、まあまあ面白くなってきた。ただ、すずりチャンは足首の少し上までバンドみたいなので縛ってある編み目靴を履いていたが、ときどき砂が入るのか、足を振るんだ。そのせいで砂が俺の顔に飛んでくるから・・・。

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