第5話:お供その一



 嫌々お城で先代の勇者の装備を着させられ支度金やら何やらを持たされて放り出された。



 「魔王討伐出来れば呪いも解けるじゃろ。流石に勇者の怨念、教会の解除魔法が効かんからのぉ」


 「いや他人事みたいに言ってないでよ! あたし剣なんて持った事無いからどうやって魔王倒せばいいのよ?」


 「なら大丈夫じゃ、ほれ」


 そう言って神官はあたしに門衛が持っていたハルバードを投げつける。



 「あっ!」



 そう思った瞬間身体が勝手に動いて腰の剣を抜き、そのハルバードを叩き落す。


 ばしっ!

 からーん



 なにこれ!?



 「鑑定で分かった事じゃが先々代の勇者が戦い方をおぬしに教えてくれる。だから安心して魔王討伐に行くのじゃ!」


 「いや安心出来ないって、なんで勝手に体が動くのよ? これ本当に大丈夫なの!?」


 「では、良い知らせを待っておるぞ!」



 ばたんっ!



 神官はそう言ってお城の門を閉めた。

 完全に追い出された、大きくため息をついてから魔王がいるという北の魔王城へ向かう事となった。



 * * *



 「ふむ、そこな女子おなご、そう、貴女そなただ、貴女そなた



 あー、目を合わせない様にしたのに、なんでこの変態はあたしに声をかけて来るのよ!



 「そこの変な趣味で男物の下着を穿いた変態娘クレイジーガール貴女そなただ」


 「誰が変態娘クレイジーガールよ! そっちこそ道のど真ん中で魔導士姿に女もののストッキング穿いて突っ立てるのよ、このド変態!」


 「いやな、このストッキングは呪われた女賢者のモノだったらしいが先々代の勇者ともう少しの所でうまくいかず、『全部魔王のせいよ!』と恨みを残して儂に取り憑いての。先ほどよりこのストッキングが疼いてのぉ。おぬし勇者じゃろ? 共に行けとささやくのじゃ」


 「いや、間に合ってますんで遠慮しときます」


 「そう言わず、ほれ、一緒に。ほれほれ」


 「近づくなぁ、変態ぃっ!!」



 ばきっ!



 キャットウォークで迫りくる魔術師のおっさんを思わずぶん殴る。


 「ぐはっ! 出来れば脚でやってもらいたかったのじゃぁ!」


 


 こうしてこの変態脚フェチ魔術師はあたしに付いて来る事となったのだった。 

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