恋は盲目?
皐月奈緒
序文
恋は盲目って、ああいう状態を言うのかな。
今のあの子には、何を言ってもムダな気がする。
あたしたち外野がいくら
「アイツだけはやめとけ」
と言っても、キョトンとした顔で
「どうして?いい人じゃない」
と返ってくる。
「あんな奴のどこがいいの?」
と首をひねっても
「そんなの、全部に決まってる。どこがなんて言えないわ」
何度聞いても、
何を言ってもこんな調子なもんだから、
みんな言うのを諦めちゃった。
「もう知らん。好きにすればいい」
でも、あたしは諦めない。
何度でも言ってやる。
だってアイツったら、
あたしにもちょっかいかけてきたのよ。
「あの子は純情すぎてつまらない。俺はホントは君みたいなコがタイプなんだ」
だってさ!
もぉ、殴り飛ばしてやろうかと本気でおもったけど、
これはあの子の目を覚ますチャンスだと思ったわけ。
だから、その申し出受けてやったわよ。
反吐が出るほどキライなやつだったけど、
正体暴いてやりたかったし。
そしたらまぁ、出るわ出るわ、
サイテー男のサイテーっぷり。
デートにパンツスタイルで行ったら
「男と歩いているみたいだから、もっとかわいい格好をしてくれ」
ちょっとアイツより成績がよかったら
「女なんだから勉強できたって意味ないだろう」
他の女の子にもちょっかいかけてたから注意したら
「モテる男はつらいよなぁ」
やっぱ、こんな奴にあの子は渡せない。
あたしはいいの、慣れてるから。
でも、あの子は違う。
とても純粋で、まっしろでキラキラしてて。
きっとコイツの正体を知ったら悲しむだろう。
ほんとに、なんであの子に目をつけたのか。
あの子を泣かせたくはない。汚したくない。
あたしのような思いは、絶対にさせない。
だってあたしは、あの子を愛してるから。
だから、アイツが許せない。
もう限界。
アイツには、消えてもらわないと。
あの子のために。
あたしと、あの子の、幸せな未来のために……
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