(四)
山城純雄は城陽典孝を連れて北浅草警察署の取調室へ戻ってきた。そして顔をうつむいたままの藤森恵美里の反対側に座った。
「どうしてあんなことをした」
山城は語気強く言った。そして背広の内ポケットからビニール袋を取り出し、スチールデスクの上に置いて、恵美里の方へ押した。
「これがなんだかわかるか」
恵美里は少し顔を上げてそれを見た。
ビニール袋の中には、枯れた短い木の棒のようなものが入っていた。
「これは?」
恵美里が小さく尋ねた。
「へその緒だ」
「へその緒?」
「そう。鶯谷駅の女性用トイレに遺棄されていた赤ん坊の遺体についていた」
山城の言葉で、恵美里は一瞬体を震わせた。山城はその反応を見逃さなかった。
「このへその緒の反対側は一体誰と繋がっていたのか」
(続く)
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