第5話

私、日本にやって来て、一体、何をしていたんだろう。

好物を食べる事すら、思いつけないでいたんだ。


わたし。

日本人になるのは厳しいと思う。

そもそも、半分、母国の血が入っている。

容姿にそぐわない、外国かぶれが残ると思う。


生まれて初めて暮らした国の影響は、人間の根底を作っているようで、カスタマイズするには、上書き、上書きで、情報をのっけていくよりないんだよね。


叔母は、緑のほうが好みらしい。

上蓋をすべて外してから、食べるようだ。


「勿体無い事をしたわね。日本だとホント、お値段がリーズナブルなのよ。」


「どこで買えるの。」


「スーパー、コンビニ、デパートメントでだって、何処でだって、売ってたわ。」


「日本の、きつねとたぬきは、随分と派手な色合いをしているのね。」


叔母は大爆笑だ。


ホントは知ってる。

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