捜査は足と頭で…7
「何かご存知のようですね」
池山が尋ねると葉知は諦めたかのように笑い頷いた。
どこか儚げのあるその表情に加賀と池山は顔を見合わせる。
「さっき来たんですよ」
「誰がですか?」
「後輩です。 千金楽麗珠さんっていう千金楽家のご令嬢です」
「千金楽麗珠…!?」
葉知の隣いる女性がそう答える。
まさかの名前に池山は目が丸くなる。
「ところで貴方は?」
加賀が冷静に尋ねると、女性は優雅に答えた。
そこにはさっきまでの葉知を心配する面影のない気品溢れる姿だ。
「これは失礼致しました。 私は、
「そうなのですか。 阿澄さんも館川百合さんとは親しかったのですか?」
「そこまで親しかったわけではありませんが、初等部の頃からの同級生になります。 高等部の頃に一度同じクラスになったこともありますが、挨拶をかわしたり軽いお話をするくらいの関係性です」
「初等部頃からですか? では塚本さんも?」
「いやウチは中等部から」
「彼女は中学受験組だったので」
「それは珍しいのかい?」
「まぁ五クラスある一クラス分くらいの人数ですから、少し珍しいくらいになります」
「随分学校事情に詳しいんですね」
「えぇ。 中等部時代に生徒会役員を、高等部時代には生徒会長を務めておりました」
「なるほど。 それは詳しそうだ」
加賀が感心したように頷く。
「ところで千金楽麗珠さんに何を聞いたんだい?」
加賀のその質問にさっきまで流暢に話していた阿澄の言葉が止まる。
そして心配そうに葉知を見る。
少し下を見つめながら静かに葉知は口を開いた。
「…百合が自殺か他殺の可能性があるっていう話です」
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